「“あなたの弱音が政治の課題”。党首と副党首は女性、幹部も半分は女性だ。今回の候補者も、6割が女性だ」社会民主党・福島みずほ党首 各党に聞く衆院選(6)
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 選挙戦が続く衆院選。『ABEMA Prime』では22日までの間、主要政党から代表者を招き、各党の政策やビジョンについて聞いており、20日には社会民主党の福島みずほ党首が生出演した。

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■新自由主義ではなく社会民主主義

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 19日、広島市での街頭演説で「社民党が作りたい社会は命と人権から守られる社会だ」と述べた福島党首。「今回は市民連合と4野党の“野党共闘”で政策協定書も結んだので、その点はかなり近くなっていると思う」というが、「将来的な合流はない。違いはあるけど連携していく、ということがとても良いと思っている」と話す。 

 「新自由主義ではなく社会民主主義。今、“分配”ということが言われているが、税金の取り方と使い道を変え、教育や福祉にきちっと振り向けて、みんなの生活の底支えをしっかりやっていく。一部の富裕層のためではなく、みんなのための経済、富の再配分ということを昔から言ってきた政党だ。ジェンダー平等も推している。女性も男性も、いろんな人が働き続けることができる、ホッとできるような社会、未来に希望が持てる社会をしっかり作っていく。元祖“脱原発”の政党でもある。そして憲法を活かしていく、そのためにやってきた政党だ。

 今回はコロナ対策として消費税を3年間ゼロにして、企業の内部留保に課税するということなどを独自で打ち出している。女性による女性のための相談会や年越し大人食堂などに行って、仕事がない、お金がない、住まいがないという人たちと会ってきた。今、シングルマザーのお母さんの平均年間就労所得は200万円だ。つまり、ちゃんと食べられるという賃金を得ることが難しい。やはりそれは一部の企業や富裕層に対する優遇策が取られ、派遣などもほとんどが可能になっている労働法制になった結果、4割が非正規雇用になり、格差や貧困が拡大した。そこを底支えしなければならない。所得税の累進課税がフラットになっているのでこれをもとに戻すことや、実は大企業は法人税が30年間に7回も下がっているので、そこはきちっと払ってもらう。GAFAにはもっと払ってもらう」。

■選択的夫婦別姓、実現したければ投票に行こう

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 また、選択的夫婦別姓、クオータ制などについても積極的に取り組む。

 「私自身も婚姻届を出さないで事実婚だし、1987年11月に国立大学の教授が“通称使用を認めてほしい”として起こした裁判の弁護人をやったのを始め、選択的夫婦別姓の問題については30年以上取り組んできた。大学・高校でのセクシャルハラスメントなどについても、弁護士として関わってきた。政党としても、最近ではリプロダクティブ・ヘルス・ライツ、緊急避妊薬や生理の貧困の問題にも取り組んできた。ただし、選択的夫婦別姓については政権交代しないと実現しないんじゃないかというくらい、自民党内に強力に反対している人がいる。だからもし実現したければ投票に行こうと呼びかけたい。多様な生き方がいいよねと思う人、他人が幸せになるのを妨害しないでほしいと思う人が投票に行けば変わる」。

 さらに若い世代に向けては、特に教育格差の是正を訴える。

 「日本はOECDの中でも教育予算は最下位で、自己責任と思われている。社民党が作りたい社会は、全ての子どもが自分のなりたいものに挑戦することができ、尊厳が守られる社会だ。“親ガチャ”ではなくて、どこの地域で、どんな親に生まれようと挑戦できるようにしたい。例えば小中の公立学校の給食を無償化にするのに必要なお金は4226億円なので、これはやれるのではないか。高校の授業料の完全無償化、今は国立大学でも54万になっている大学の授業料の引き下げを行いたい。国公立大学の授業料と入学金を無償化するには4168億円だが、私立大学は2兆6808億円と莫大になるので、これは段階的にやっていくしかないが、お金がないために高校を中退する、大学に行けない、ということのないよう、しっかり応援する」。

■市民に広がるような政党になりきれていない

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 旧社会党時代は自民党と“55年体制”の片翼を担い、土井たか子委員長のもと“マドンナ旋風”で議席を伸ばし、1994年には自民党・さきがけとの連立政権を樹立。当時の村山富市委員長が総理大臣に就任したこともあった。ところが現職の議員は福島党首のみ。「私たちはたった一人でも声をあげた人に寄り添い、共に社会を変えていく。ひとりを笑うな」と訴えるが、その声はどこまで届くのか。

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 慶應義塾大学の若新雄純・特任准教授は「社会民主党としてなのか、それとも福島さんとしてなのかという境界が曖昧なところになってきているところもありそうだが、
主張は分かりやすい。合流はせず、社民党でなければいけないという存在意義もあるのだと思う。ただ、かつては政権与党にもなったところから議席を減らし続け、政党としてはすごく小さくなってしまったことは客観的な事実だ」と指摘。

 その上で、「労働者に寄り添うというところが旧民主党系の野党に役割が移ったところもあったかもしれないが、女性の社会進出に伴う職場での悩みなどの受け皿になることもできたのではないか。ざっくり言えば、有権者の2人に1人は女性なわけだが、“女性が支持する”という分かりやすい党にもなりきれなかった。議席数で判断するのは失礼かもしれないが、時代の変化なのか、あるいは他の野党との関係なのか、必要とされなくなった、受け皿とは捉えられなくなったと見ることもできるのではないか」と切り込んだ。

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 福島党首は「社会党時代のことは分からない部分もあるが、当時は労働組合が基軸だったんだと思う。その後、連合などが民主党を基軸にするようになっていった。そこに対して社民党はもっと市民に広がるような政党になるべきだったが、なかなか新しい受け皿になりきれてないということだと思う。一方で世界を見ると、スカンジナビア半島の国々(ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド)は社会民主主義の政党が政権を取っているし、ニュージランドのアーダーン首相も労働党の女性党首だ。アイスランドも左派・グリーンだし、新自由主義ではなく、ジェンダー平等で、富の再配分をした方が社会も安定して持続可能になるよね、ということになっていると思う。

 私たちも“新生社民党”としてジェンダー平等をバリバリと打ち出そうと、党首と副党首は女性にし、幹部も半分は女性にした。今回の候補者も、6割は女性だ。そして“弱音が吐ける社会へ”というのをスローガンにした。“あなたの弱音が政治の課題”ということで、未来になかなか希望が持てなかったり、苦労したり、悩んでいる人たちに刺さっていけばいいと思う。“自民党の自民党による自民党のための政治”じゃないけれど、岸田さんもやっぱり既得権益には切り込めない。私たちはしがらみがないからできるということが、もっと広がるといいと思っている」と話した。

■セーフティネットの具体的な制度設計を

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 一方、慶應義塾大学の夏野剛・特別招聘教授は「岸田さんが分配を主張して野党か与党かわからなくなってきているし、自民党としてもセーフティネットをどのように用意するのかということを全然出してきていない。そういう中で野党が“年収がこのくらいの人に対しては生活保護の仕組みに代わるこういう制度を用意するんだ”などと具体的に提案してくれるとすごくいい議論になる可能性があると思う。しかし財源の問題もあるので、なかなか数字としては出てこない。口頭で“弱者や困っている人を助ける”と言うだけではなく、制度設計をしてほしい」と指摘。

 また、福島党首の主張に対しても、「辻褄が合わない。法人税の税収は今、過去最高になっているが、税率を上げれば必ず増えるというほど簡単なものじゃないし、当然日本から出ていってしまう企業も現れるだろう。また、GAFAに対する関税は日本ではできない。そして、社会保険費の方が消費税や所得税の負担よりも大きくなっている。セーフティネットと言っても、必要のない人までが病院に来て薬をもらって帰るというのは、医療費の使い方として適正ではないのではないか。セーフティネットは苦しい時に再チャレンジができるよう頼れればいい。一方で、シングルマザーについても、子どもがいたらそれだけでも一緒に生きていけるくらいの保障をしてあげてもいい。そういう具体的なことをしていこうとすれば、みんなが正社員になって解雇されない企業ばかりでは成り立たない。セーフティネットを用意するかわりに、企業は自由にやってください、としなければ安心できない」と反論した。

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 福島党首は「おっしゃるように、セーフティネットに落ちない社会も必要だとも思う。ただ、現に先進国の中で実質賃金が下がり続けているのは日本だけだ。雇用対策もちゃんとしながら、というのが重要だと思う」と強調した。(『ABEMA Prime』より)

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