選択的夫婦別姓の導入「来年の夏以降、党内でしっかり議論できれば」自由民主党の宇都隆史政調会長代理 各党に聞く衆院選(9)
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 主要9党から代表者を招き政策やビジョンについて聞いてきた『ABEMA Prime』。ラストとなる22日は自由民主党から宇都隆史・党政調会長代理が生出演。デジタル政策、さらには元航空自衛官・菅内閣での外務副大臣の経験を活かし、外交・安全保障政策を訴えた。

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■選択的夫婦別姓は来年の夏以降、しっかり議論したい

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 あと1週間に迫った投開票日。「政権は維持できると考えている。ただ、自民党政権はずっと長くやっているし、政権与党というのは厳しいお叱りを受けながら選挙をするのが使命だと思っている。実際、情勢は非常に厳しいと思う。やはりこの1年間にわたるコロナ対策も含めて、“もうちょっとしっかりしてほしい”という厳しい声が多い」。

 そんな自民党について、「第一に、常に改革を目指す保守政党だ。自由民主主義、法の支配、人権といった価値観を重視し、社会主義や共産主義には与せず、日本らしい国づくりを国民と共に進める国民政党だ。第二に、実績と経験がある。全国各地の支部から集約した社会課題を議論によって政策に繋げ、官僚と共に力を合わせて行政を前に進める実行力がある。第三に、人材の宝庫だ。各方面の専門家、実務家の多数の集まりだ。また、部会や勉強会を通じて人材を育成する力がある。日本が国難に直面している今だからこそ、ぜひ未来を託してください」とアピールした宇都氏。

 若者に対して最も訴えたいのは、岸田総理の“成長と分配”を踏まえたのか「雇用政策」。選択的夫婦別姓の導入についても、総裁選以降、岸田総理が繰り返していた答えと同じ「まだ議論をする時期だと思っている」と即答した。

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 これに2ちゃんねる創設者のひろゆき氏が「本当に宇都さんはそう思っているのか?自民党としての考えを言っているのではないか?という部分がある気がする。そこら辺はお酒を飲みながら話したら違うんだろうなと思った(笑)」と突っ込むと、「お酒を飲みながら話したら、党籍を剥奪されるんじゃないかと思う(笑)。ただ、自民党の考え方は幅が広いし、議論して、最後に決まったことに対しては皆で何とか前に進めていこうというところがある。それが政権与党の実行力だと思う」と応じ、改めて平成ノブシコブシ徳井健太が「際どいところを聞いたらどう答えるのか気になっていた。やはり選択的夫婦別姓のところは?(笑)」と切り込むと、宇都氏は次のような認識を示した。

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 「今までも女性の活躍推進など、最初は大反対を食らっても、議論をしていくうちに“この辺が落とし所だ”“それだったらしょうがないね”とみんなが納得するということもある。選択的夫婦別姓についても、海外の実態を見ても、そういう流れはあるし、党内には“導入してもいいんじゃないのか”という国会議員もいる。地方があるのも自民党の強みで、過半数を自民党が占めている地方議会もあるが、そういうところから“やるべきだ”という決議が上がってきてもいる。

 ただ、ご案内のように“保守政党”ということで、支えられている団体の中からは強い反発もある。神社庁関係など、いわゆる昔からの家族制度を守りたい、壊したくないという人たちもいる。私は壊れるとは思っていないが、やはり脅威に感じている、心配している人たちの声は大事にしないといけない。それらとどう折り合いをつけていくのか、ということで、議論の時間が少し必要だということだ。逆に言えば、時間をかければ変わっていくと私は思っている。

 そして私たちが反対をしているような政党だと取られるのも良くないが、そういうちょっとガタガタするテーマは腰を据えて議論すべきだ。今年は衆院総選挙があるし、来年は夏に参院選がある。その後しばらくは大きめの国政選挙がないので、有権者の顔色を見ながらではなく、腰を据えて発言ができるようになる。スタートとしては来年の夏以降、しっかり議論できればと思う」。

■「デジタル担当の人事は適材適所であるべきだ」

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 今回の衆院選は、前政権である菅義偉内閣への審判でもある。菅政権が注力してきた政策の一つが、行政のデジタル化だ。宇都氏は、引き続き推進していくと強調する。

 「コロナ対策でもそうだが、マイナンバーと紐付けたデジタル化がなかなか前に進まなかった。しかし本来、マイナンバーは保険証を始め、身分証として最も使われている運転免許証、納税記録など、いろんなものを紐付けていくことができる。まず、中央省庁で横断的にデータを共有し、データ管理をきちんとしていけば、都道府県、市町村という縦のラインでも共有ができるようになり、利便性が上がっていくはずだ。

 こうしたことは今までも議論されてきたが、やはり情報漏洩や管理社会につながるのではないかといった、データの共有・一元化にご不安、ご心配の声の声もあり、なかなか進んでこなかった。それでも、まさにひろゆきさんがフランスから生出演されているように、場所を限定せずにアクセスできる、色んなことにチャレンジできるというゲートが開かれてきた。大学についても、東京に出てくるのにはお金もかかるが、例えば共通科目の間は地元からでオンラインで参加するなど、様々な工夫があると思うし、そうしたことは東京一極集中の打破にもつながる」。

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 ひろゆき氏は「平井前大臣が就任する前は、パソコンを触ったことがないような人がIT担当大臣になったこともあった。それをOKしちゃう価値観が自民党にあるということは、やっぱり今のままではデジタル化は無理なんじゃないかと思う。今もそういう人たちが国会議員である以上、根本的な考え方は変わっていかないのではないか」と疑問視。

 これについて宇都氏は「人事は時の総理大臣によるものだが、おっしゃる通り、適材適所であるべきだ。実際、“できるのか”と、自民党の中からもブーイングが出る人事もある。今後も実績を見ながら、できていなければブーイングを出すと思うし、コロナ対策で酒類提供について金融機関がチェックするというような話が出てきた時には、政府が決めた話も大反対して取り下げさせた。そのようにして党内から自浄能力を示さなければ、信用されなくなる」と理解を求めた。

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 また、自身のIT活用について宇都氏が「情報収集は概ねネットだ。記事も、通信社や新聞社がネットに配信しているものを中心に見ている。SNSに関してはFacebookを中心としながら、Twitterはワンウェイ、発信だけでほとんど見ていない。きちんとした意見であれば、きちんと反論もさせていただく」と説明すると、ひろゆき氏は「別にSNSに時間を使うことが正しいとは思わない。SNSに書いているような人の意見に左右される方がまずいと思うし、SNSを超読んでいる、という人の方がヤバいと思う。そういう意味では、宇都さんは全く問題ないと思う」と評価した。

■「今までの迎撃システムだけでは対応できなくなってきているのが実態だ」

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 そんな宇都氏が、今回の衆院選で掲げた公約の中でも“目玉”だと話すのが「国防力の強化」だ。

 「中身を見ると、今までの自民党の公約の中でもエッジが立っていると思う。時代や環境、元自衛官としても、必要なことだ。例えば経済安全保障の分野にもまたがる点として、何でもかんでも他所から買ってきて国費を流すのではなく、きちんと国内で整備できるように、ということも入っている。実際、買ってきても使い物にならなかった、というものも多い」。

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 19日には北朝鮮が潜水艦から弾道ミサイル(SLBM)を発射。中国の尖閣諸島や台湾海峡での動きも活発だ。

 宇都氏は「ミサイルに関しては北朝鮮の潜水艦発射型も含め、今までの迎撃システムだけでは対応できなくなってきているのが実態だ。また、撃ち落とすだけの防御システムというのは、向こうが撃ってくるミサイルよりも何十倍、何百倍のコストをかけたミサイルが必要になるので、ものすごくお金がかかる。もう少しコストパフォーマンスのいい守り方の一つの解が、総裁選でも出ていた、ある程度は反撃能力を持つべきではないか、相手のミサイルの数は減らないが、それによって抑止力を効かせ、相手が撃ちにくい状態を作っていくべきではないか、という議論だ。これは国際スタンダードでもあるし、そういう方向に持っていきたいよね、というのも今回の公約の目玉だ」と説明する。

 「そして、これは先制攻撃をするという意味ではない。何発もあるミサイルのうち、最初のものを確認する、あるいは迎撃をし終わった後、また準備をしている状況であれば相手が撃つ前やブースター段階の入り口にあるような迎撃しやすい位置で撃ち落とす、といったものだ。

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 テレビ朝日平石直之アナウンサーは「岸田総理は18日に“日本に届く北朝鮮のミサイルは500〜600発ある。第一撃の後も考えなければいけない。第二撃を防ぐとなると、国際法の関係でもクリアできるのではないか”と述べているが、この“クリア”が、その敵基地攻撃を意味するのだろうか。また、憲法や専守防衛の考え方とも関係してくるが、“第二撃を防ぐ”という表現について、もし一撃目を探知できるのなら、発射を阻止することはできないのか」と質問。

 宇都氏は「諸外国が潜水艦発射型のミサイル開発を急ぐのは、どこにいるかが分かりにくい潜水艦であれば、第二撃目を先に潰すのが難しくなるからだ。まだ海中に隠れているのに先に攻撃するのをためらう、そういう抑止力が働くという意味で作っている。また、これは国会答弁の中でも明らかになっていることだが、“必ず一撃目を打たれてからでなければならない”“被害を受けてからでなければならない”というふうにはなっていない。発射が明らかで、我々の生存が脅かされている状態であれば“存立危機事態”だと判断できる法解釈になっている。ただし、今は攻撃するための能力を持っておらず、二撃目以降も我々の判断での対応ではなく、アメリカに任せざるを得ない状況だということだ」とした。

■「言葉の裏付けになる力がなければ言うことを聞いてくれない」

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 こうしたスタンスに対しては、軍事力よりも外交交渉だ、との反対意見も根強い。しかし宇都氏は「外務政務官と副大臣をやった身から言うと、言葉の裏付けになる力がなければ、全然言うことを聞いてくれない」と反論する。

 「もちろん、軍事力を強化したからといって全て解決するわけではないし、最終的には話し合いに持ち込まないといけないが、向こうが聞いてこない、話し合いの場にも乗ってこようとしない場合、力になるのは三つがある。一つは経済力。中国なんかも、お金に力を言わせてやっている。二つ目が情報力。圧倒的な情報を持ち、裏も取れている状況であることが必要だ。そして三つ目が、残念ながら、伝統的に軍事力ということになる。よく“外交で”“話し合いで”というが、こうした三つの力の裏付けは持っていなければきつい。

 また、情報力に関しても、日本には残念ながら国家情報機関みたいなものがない。今回の公約にはダイレクトに書かれてはいないが、内閣情報局や防衛省情報本部などをもう少し統合していきながら、また、岸田内閣でできた経済安全保障担当大臣にも情報を集約していきながら、アメリカのCIAなど、“ファイブ・アイズ”と呼ばれる国々が持っているようなものを作り、もう少し外交力を引き出すことができたらとは思っている」。

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 東洋経済新報社・会社四季報センター長の山田俊浩氏は「岸田さんはこうした議論を若手の意見も聞き入れながら非常に精緻に準備しているように見えるが、ちょっと心配なのが、細かいところまで決めて、それらを表で言ってしまえば、もちろん北朝鮮にも伝わるし、外交上で不利になるんじゃないのか、ということだ。実現できなかった時にも“決めた通りにできていないのではないか”という話にもなる。もう少し大雑把でいいのではないか」と懸念を示す。

 宇都氏は「そのお考えは正しいと思う。軍事力やヒューミント(人による情報の収集や分析)などについて、こちらがどれほどのものを持っているかは、あまり明らかにしない方がいい。同時に、国民の皆さんやステークホルダーに対しては、ある程度のことは説明していかなくてはならない。そこの匙加減が難しく、どこの国も苦労していることだ。ただ、諸外国はある一定のラインを超えたものについては国会などでも秘密会議を持っていて、知っていい人間にしか知らせない、というふうになっている。そして、国民には何年かしたら知らせる、ということだ。それが今の日本では、かなりオープンな議論でなければ国民にご理解いただけない状況があるということもあり、“手の内”が出てしまっているのだと思う」と指摘した。(『ABEMA Prime』より)

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