メジャーリーグ中継の実況でおなじみの節丸裕一アナウンサーは、ファン歴30年以上、スプリングトレーニングからWシリーズまで足繁く現地に通うなど、仕事で携わること早20年を迎えた。これまで3000試合近くメジャーリーグを見ているという節丸アナに、今季投打にわたって数々の記録を塗り替えるなどファンを熱狂させたエンゼルスの大谷翔平選手の今季のベストプレーを尋ねた。
1つに絞るのは非常に難しいとしつつ、強いて選べば「大谷=二刀流」ということで現地8月18日の「8勝目&40号」をマークした敵地でのタイガース戦での投打にわたる活躍を挙げた節丸アナ。しかし、「もうひとつ挙げていいなら」と選んだシーンがある。それは、豪快なホームランでも快投でもなく、“野球人・大谷翔平”として彼の強い思いが溢れたあるプレーだった。
「よく二刀流、二刀流ということになり、ピッチングやホームラン、盗塁の数などに目が行きがちですが、数字だけではなく、一つひとつのプレーにアツいものを感じさせるところが彼の魅力なんです」
節丸アナが印象的なプレーとして挙げたのは、日本時間7月3日に行われた対オリオールズ戦。第2打席に今季29号、第3打席に30号と二打席連続弾を放って迎えた9回の攻防で、試合を決めるべく大谷が本塁を陥れた渾身の走塁だった。
7-7の同点で迎えた最終回の攻撃、1アウトから四球で出塁した大谷は二盗を試みるも、3番・レンドーンがスイングしたバットが捕手に当たる守備妨害とみなされて盗塁は無効に。しかしレンドーンが見逃しの三振に倒れた後、続く打者・ウォルシュの初球に難なく今季12個目の盗塁を成功させた大谷は、ウォルシュのライト前ヒットで迷うことなく本塁へ突入した。ライナー性の当たりだったこともありクロスプレーとなったが、大谷の足がわずかにホームに触れてサヨナラ勝ちを収めた。その直後、仰向けに寝っ転がり両腕を空に突き上げた大谷のもとにチームメイトが駆け寄り、歓喜の輪が広がるシーンは反響を呼んだ。
改めてこのシーンを振り返った節丸アナは「ただホームランを打てばいいとか、投げて勝てばいいとか、そういうことではなく、自分のプレーでチームを勝利に導くんだという強い思いが伝わってくるシーンでした」と話すと、このプレーがヤンキースなどでプレーした松井秀喜さんのある場面と重なったとも続ける。
「松井秀喜さん(ヤンキース)のメジャー1年目、2003年のポストシーズン。リーグチャンピオンシップで宿敵・レッドソックスとの一戦があり、ホルヘ・ポサダのヒットで同点のホームを踏んだ松井さんが、全身でガッツポーズを見せて勢いよく宙に浮かびました。あの時に初めて、グラウンドでは感情を表に出さない松井秀喜さんの感情むき出しな姿を見た気がしました。それとすごく似ていて、投げて打つだけではなく、勝つことへの執念。野球人としての秘めた思いを強く感じました。そういった意味では大好きなシーンですし、より一層、大谷選手のことが好きになってしまいました」
素晴らしいシーンがいくつも頭に浮かぶので、何かをベストとは言いにくいのですが…そのように話した節丸アナは加えて「野球というのは、チームで戦い、チームで勝つスポーツだと思っています。これだけチームが勝てなかったという時点で、今年の中に大谷翔平のキャリアベストというものがあるはずはない。これから先、本当のベストがあると思っていますし、そうであって欲しい。大谷翔平はスゴイですけど、大谷翔平はまだチームを勝たせていません。本人も勝てないストレスのようなことは口にしていますし、実績を残すことで口にできるようにもなった。来年以降、先ほど話した松井さんのように、ポストシーズンで戦う大谷翔平の姿を見ることができたら嬉しいですね。ポストシーズンのアツさは特別です。良い選手なら必ず勝てるというわけではないですが、できれば頂点を極めて欲しいですね」と来季以降のさらなる飛躍に期待を寄せた。
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