「最高の形でベルトを獲れました」

 そう語ったのは璃明武。10月31日、Krush後楽園ホール大会でスーパー・バンタム級のトーナメントに優勝、タイトルを獲得した。これはKrushで最初に制定された3階級の王座の一つ。いわば伝統のベルトだ。

 璃明武はデビュー以来、順調に勝ち星を重ね敗北はわずかに1つ。8月の1回戦は対戦相手の計量オーバーでワンマッチ扱いとなり、満足のいかない内容で判定勝利だったが、そこから尻上がりに調子を上げてみせた。

 10.31後楽園、まずは準決勝で黒田勇斗に勝利。決して調子がいいわけではなかったと言うが、ダウンを奪っている。そして決勝戦では鬼山太郎を2ラウンドでKO。まさに「最高の形」だ。

 この決勝戦、特に冴えていたのが左のジャブだ。基本であり攻撃の起点。これが遠い間合いから次々に決まった。“長距離砲”で相手を近寄らせない。

「あれで鬼山選手は焦ったと思います。ジャブでペースを握ることができました」

 璃明武はそう振り返っている。起点のジャブが的確だったから、その後の連打で3つのダウンを奪うことができたわけだ。今回、セコンドには那須川天心など多くの強豪を指導する永末“ニック”貴之氏の姿も。前回の試合の後から永末氏のもとで出稽古、その成果も出たという。何を教わったかと言えば「結局は基本です」。ジャブが鋭かったのも頷ける。

 次の目標はK-1のチャンピオン。身上は倒す試合だ。

「これがK-1、Krushのチャンピオンだという試合をしていきたい」

 まだ21歳になったばかり。KrushでもK-1でも、これからさらに大きな可能性が広がっている。

文/橋本宗洋