20代の当選は1人だった衆院選…「これからも国政を目指す」“全国最年少候補”の今井瑠々氏、“元ミスター慶応”の岸野智康氏の選挙戦
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 若者の低投票率が盛んに論じられる中、20代で政治の世界に飛び込んだ立候補者たち。福島2区では立憲民主党の新人・馬場雄基氏(29)が小選挙区では自民党の現職で元厚生労働大臣の根本匠氏(70)に敗れるも比例復活を果たした。

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 ただ、全国で14人いた20代の立候補者のうち、議席を獲得できたのは馬場氏ただ一人だ。そこで投開票日翌日の『ABEMA Prime』では、20代の候補者たちに、肌で感じた選挙戦を振り返ってもらった。

【映像】今井瑠々氏と岸野智康氏が振り返る衆院選

■「有権者は“世代交代”を望んでいたと思う」

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 岐阜5区で出馬し落選した立憲民主党の今井瑠々氏(25)が政治の道を志したのは、高校生の頃だったという。今年4月、25歳の誕生日を迎えて被選挙権を得たことから、全国最年少の立候補者となった。

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 「地域の皆さまの命や暮らしを守りたいと、28歳で県議になられた方に相談したりしていた。その後、立憲民主党の元国会議員の方などを紹介していただく中で、岐阜5区で候補者を探しているということと、少しでも早く地域で政治に携わりたいという私の思いが一致し、出馬することになった。“看板”もない中、とても大きな挑戦なので悩みもあったが、地元の方々を含め、色々な方に“瑠々を応援したいし、出したいんだ”“出たい候補者じゃなくて、出したい候補者というのが大事なんだ”と仰っていただいた」。

 野党の一本化を望んだが、最終的には日本共産党の候補者も出馬した。「野党統一、共闘というのはそんな単純にいくものではないと思っている。私としては10期当選されている現職の方に対して若手がどのように挑むかという、“世代交代”に注力した」。

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 結果、6万票あまりを獲得し、自民党の現職で国家公安委員長などを務めた古屋圭司氏(69)に次ぐ2位での落選となった。選挙戦は“右も左も分からない状態で、ゼロからのスタートだった”という。 「手の振り方や挨拶回りの仕方も分からず、地元の市議さんや県議さんに“選挙のいろは”を教えていただきながらの選挙だった。それでも少しずつ地域の皆様の繋がりが広がっていって、高齢の皆様にも孫のように可愛がって下さった。“瑠々ちゃん”と声をかけて手を握ってくださった方もいた。本当に温かい選挙だった」。

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 開票結果については「これだけたくさんの票をいただけたということへ感謝の気持ちと、結果につなげられなかった悔しい気持ちでいっぱいだ」と話す今井氏。今後も選挙区を歩き、地域密着の政治家として国政を目指し続ける。

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 「私も、地域の皆さまの命や暮らしを支えるお手伝いをしたいという気持ちは変わらない。若くてもしっかりしているなとか、この子なら任せられるな。という信頼関係をいかに築けるか。根性があるな、度胸があるな、思いがあるなというのをしっかり伝えていくのが大事になると思う。

 年長の方でも落選されたり、票を伸ばせなかったり、というところを見ると、やはり有権者が望んでいたのは“世代交代”であったと思っている。もっと若い人に力を入れてもよかったのではという気持ちはある。ただ、同世代の若者は忙しいし、私が“選挙に出るから手伝いに来て”と言っても、”昼間は演説も聞けない””土日しか無理”といった反応だった。

 そもそも若い世代は政治に関心がないということもあり、候補者の私自身に関心を持ってもらうというところもあるので、選挙活動ができない夜8時以降も発信ができるSNSを使って、昼間の活動をインスタライブやストーリーに載せたり、組み合わせて使っていくのがいいと思っている。また、初歩的なところ、例えば立憲と国民の違いは何?といったところから発信していかなければいけないし、地元の若い世代と対談をしてYouTubeに動画をアップするといったこともやっていきたい」。

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 一方、政治を志す女性には“票ハラスメント”の問題や出産・子育てとの両立の問題も立ちはだかる。

 今井氏は「“生意気だ”とか“偉そうだ”と言われないよう、できるだけ言葉遣いには気をつけたし、ズボンを履いて、あまり身体は見せないようにしていた。また、私の場合は育児との両立という問題はなかったが、いずれ結婚や子育てと政治活動が両立できるのかという不安はある。それでも比例名簿で女性候補者を優先させるとか、女性候補者をもっと応援しようという動きがでてくれば」と話していた。

■「今日が初日だと思って朝から活動させていただいた」

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 一方、茨城3区から立候補氏落選した日本維新の会の岸野智康氏(27)は、今年7月の東京都議選に続くチャレンジだった。「ミスター慶應コンテスト2015」でグランプリに輝いた経験も持つ岸野氏は、昔から政治家という職業に憧れを抱いていたと話す。
 
 「政治家に関心があるというようなことを話すと、深い理由を求められがちだ。しかし私としては小学生が無邪気に弁護士や医師を“かっこいいな”と思うように、日本の未来を率いる政治家という仕事に関心があったということだ。ただ、同じく学生時代には政治に関心があると言っていた友人たちも、卒業後は全く違う世界で活躍していく。そういう姿を見て、本当に政治家になろうとしている人は少ないんだと感じたことが、さらに政治の道に押し進めた」。

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 日本維新の会を選んだのは、その改革志向と実績からだという。

 「少ない経験かもしれないが、与野党のいろいろな勉強会、政策塾に参加させていただき、政策の理解だけでなく、根本にあるカルチャーにも触れさせていただいた。中でも特に日本維新の会の本気で改革していくんだという姿勢、さらに野党だからと甘んじるのでなく、できる限り結果を出してきたというところにスピリッツを感じた。これを日本全体に広げていきたいという思いが強く、東日本、関東で活動したいという旨を伝えた。その中で今回、北関東のブロックで多くの議席が取れるかもしれないということなどを相談させていただき、出馬を決めた」。

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 当選した自民党の現職・葉梨康弘氏(62)、立憲民主党の梶岡博樹氏(44)に次いで3位となった岸野氏。やはり認知度を高めなければならないと痛感しているようだ。

 「外から来た、俗にいう“落下傘候補”だったので、なぜここで出るのか、ここで何を成し遂げたいのかという意見は頂いたし、それは1対1で伝えていくことが大事だと思っている。先日の『ABEMA Prime』で、“SNSが大事か握手が大事か”という議論があったが、やっぱり実際に手を握って直接的に訴えかけるというところは、高齢の方々に本気だという意思を示す一つのツールという手段にはなっていたかなとは思う。実際、若いから応援するよ、という声も多かったが、逆に投票所に行ってはじめて岸野さんを知った、という声もいただいた。それくらい日中の活動ではあまり存在感が出せなかったのかなと思っている。

 特に私の選挙区はベッドタウンの部分も大きく、日中は都内に出ている方が多い。だからリアルで接触できる回数も少なかったと思っている。若い方についても、選挙活動ができる時間帯の朝8時〜夜8時の前後で移動されている方が多いので、アプローチが大変だった。そこは今井さんと同じで、SNSが強い武器になっていくかと思うので、コロナ後はリアルも含め、工夫していきたい。やはり若い方に関しては関心を高める以前に、関心がない。そこは私のような同世代が出てくる事で、関心を持ってもらえるのではないか」。

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 今井氏同様、今後も国政を目指し、今回出馬した選挙区で政治活動を継続すると明言する。

 「選挙としては終ったが、初めて岸野智康を知ったという方もいる。私としてはこれで終わりにしてしまうのではなく、今日が初日だと思って朝から活動させていただいた。私の出身地と多少はゆかりもある選挙区。今回3万票という支持をいただいたし、根強く活動していきたい。選挙終わったばかりで、生活については全く考えていないというところが正直なところだが、そもそも今回の出馬についても、私としては迷いは全くなかった。日本維新の会からも、政治にはお金も時間もかかる、それを覚悟した上で立候補してくれるのかどうかと聞かれた。党としても“身を切る覚悟”を掲げているし、はっきりいって潤沢な資金や企業献金があるわけではない」。

 8カ月後には参院選も控える。しかし30歳を迎えていない今井氏も岸野氏も、被選挙権はない。「出馬しないのか、との声をいただくこともあるが、出られない」(岸野氏)。

(『ABEMA Prime』より)

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