小選挙区と比例区で異なる有権者の温度差…立憲民主党の当選議員「“昭和型のビジネスモデル”を変えないと」
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 報道各社による情勢調査などでは議席増も予測されていたが、蓋を開けてみれば公示前勢力を下回る96議席の獲得にとどまり、平野博文選挙対策委員長や辻元清美副代表など、ベテラン・幹部議員が相次ぎ落選する事態に陥った立憲民主党。

 2017年の衆議院選挙直前の結成から4年、野党第1党として走り続け、党を牽引してきた枝野幸男代表は2日、選挙結果を受けて辞任の意向を表明。福山哲郎幹事長も同様に辞意を表明し、立憲民主党は新体制の下で来年の参議院選挙に臨むことになった。

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 野党共闘は失敗だったのだろうか。2日の『ABEMA Prime』に出演した当選議員は、小選挙区と比例区での有権者の温度差を指摘する。

【映像】枝野代表の辞任表明で党が活性化する?

■小選挙区では“党より人”で結果を出すことができる

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 社民党県連の推薦も受け、福島4区(会津若松市や喜多方市など)で当選した小熊慎司議員は「福島県は全国で唯一、立憲民主党が勝ち越したし、落選した馬場雄基さんも比例で復活当選し、平成生まれ初の国会議員になった。つまり立候補者の全員が当選したことになるので、他の地域とは少し事情が違うと思う」と話す。

 「私の選挙区は田舎なので、普段から活動も“党より人”でやっている。ちゃんとフェイス・トゥ・フェイスでつながる努力をしていけば、結果を出すことができる。ただ都市部はそこまで触れ合えないこともあるし、浮動票が多い。だから十把ひとからげに論評はできないと思う。実際、NHKの出口調査によれば私は自民党支持層の2割以上、支持政党なしの方々の7割以上に投票いただいた。本当に支援者、後援者のご努力の結果だと思う」。

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 福島県では5つある選挙区のうち、立憲民主党は4つの選挙区で候補者を出し、うち3つの選挙区で当選者を出している。一方、全国的に振るわなかった理由については、次のように分析した。

 「まずは個々人の努力が先になくてはいけないと思っているし、私自身も票を詳細に分析して、感謝と反省から始めたいと思っているところだ。とりわけ個人を押し出すことで精一杯だった結果、こうなってしまったというのは自分自身、反省しなければいけない。選挙後に同僚議員とも話したことだが、野立ての看板も党の看板ではなく、自分の名前を売っていたと言っていた。やはり選挙はすごいエネルギーかかるし、支援していただける方にも負担を強いることになるので、自分のポスターを貼ってもらうというのが関の山というのが実際のところだ。

 また、私は日本維新の会にいたことがあるが、会津なので“維新”というのはなかなかしんどいということもある(笑)。それでも比例の票を見てみると、維新やれいわ新選組にも入っているので、こちらも時間をかけて分析しなければいけないと思っている。私も“批判ばっかりするよな、お前の党は”と言われたし、“まだこっちの方がましかな?”という感じで選んでいただいている部分もあると感じている。党としてはすばらしい所属議員が多いと思っているし、委員会でも建設的な議論をしてはいるのだが、そうした実態と印象がかけ離れていて、なかなか伝わらない。一部ではマスコミが悪いという人もいるが、見せ方、伝え方について反省をしなければならない」。

■“昭和型のビジネスモデル”から変わらないと比例区では厳しい

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 神奈川県では18区中14区で候補を擁立、うち7人が当選した。れいわ新選組の推薦も受け、神奈川7区(横浜市港北区・都筑区)では4000票あまりの僅差で破れたものの、比例南関東ブロックで復活当選した中谷一馬衆議院議員も、「小熊さんに近い感覚がある」と話す。

 「神奈川県では、小選挙区で勝った人が前回より増えているし、私自身、自公の勢力を9割程度固めた相手候補にはやはり届かなかったという現状があるものの、出口調査によれば野党支持層の9割くらい、無党派層も7割が投票してくれている。また、30、40、50代では負けていたものの、10、20代、そして60代以上では相手より勝っていた。ただ結果としては50.86%対49.14%の得票差だった。だから雰囲気が悪かったかといえば全くそんなことはなく、今までで最も“1票入れたよ。応援しているから頑張ってね”と言っていただけた選挙戦だった。

 ただ、改革の新たな選択肢としては維新が躍進したし、国民民主も票を伸ばした。さらにれいわ新選組も票を獲得したという結果を見ると、多様な価値観の中で立憲が受け皿となった、という状態にはなっていなかったと思う。例えばこの4年間、維新は政府提出法案の88.7%に賛成していたが、立憲民主党も82.6%は賛成をしている。

 背景には、小熊さんの言う通り、やはりメディアにどう出ていくかという戦略で稚拙な部分があったのかなと思うし、政府との対決姿勢を見せすぎた結果、それがステレオタイプのようになってしまう傾向があったことは否めない。私自身は100回に1回くらいはあるかもしれないが、よほどの時以外、政府批判の投稿はしていないが、国会対策自体、こういう“昭和型のビジネスモデル”から変わっていかないと、若い層の支持は受けられない」。

■新代表は?「名前が挙がっている人たちならやれる」

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 枝野氏に代わる新たな立憲民主党の顔。すでに旧民主党政権では閣僚経験も持つ馬淵澄夫氏が出馬を模索しているほか、自民党の平井卓也前デジタル担当大臣を破ったことでも注目を集める小川淳也氏が出馬に前向きな姿勢を見せている。

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 中谷氏は「枝野さんは立憲民主党を立ち上げられてからの4年間、献身的に務められて来たと思う。今回も14議席減の惜敗なので、大きく失敗をしたという感覚はない。ただ、福山さん、安住さんも含め、中心にいる方々が政権選択選挙で減らしてしまったということを代表として重く受けとめられていることは理解できる。

 すでに名前の挙がっている皆さんは小選挙区で勝ってきている方々だし、極めて能力が高く、人柄もとても良い人たちばかりだ。まさに担う先輩方だと思うし、誰がなっても党はかなり活性化してくると思う。その上で、やっぱり女性と若手のバランスが悪いので、ジェンダーとジェネレーションを両方とも統括できるような代表を立てていくべきじゃないかと思っている」とコメント。

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 小熊氏は「90数名しかいないなかで、推薦に20人集めなきゃいけないのはきつい。また、本当にゼロから生まれ変わった気持ちで、解党的な出直しをしないといけないと思っているので、派閥争いみたいなことをしてはいけない。とにかく代表選をやった上で、その後はノーサイドで、落選された支部長さんたち、支援していただける党員、サポーター含めた挙党一致体制が取れるような代表を選びたい。

 その点、私は維新の前には自民党にいたが、あの総裁選のように本当は3人、4人と、ハッキリ言えば右から左までの様な意見が出る中で政策論争ができればいいと思うし、適正な議論の元に決定したことについてはキチッとまとまっていく優れたガバナンスがあればいいと思う。過去の悪いイメージをなくすのではなく、背負いながら国民のみなさんに正しい姿を見せる期待感を持っていただける体制。名前が挙がってきている人たちは、それができると思っている」とした。

■「シルバー民主主義における新しい対立構造が?」

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 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「たしかにメディアのせいもあるかもしれないが、Twitterで口汚く自民党やその支持者を罵っている議員もいる。強力だが狭い支持者の方だけに顔が向いていて、自民党にしようか立憲にしようか、それとも維新にしようか、と迷っているような浮動層に対しては全く向いていないのではないか」と指摘。

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 また「出口調査を元にした日経の分析によれば、立憲の支持が高いのは60代、70代で、20〜50代はみんな自民党支持だという。なおかつ日テレの調査では、60代、70代が財政健全化を重視するのに対し、50代以下はみんな財政出動してくれと言っている。いわば立憲民主党はシルバー政党になってしまっていて、それに対する若い自民党支持層という、シルバー民主主義における新しい対立構造みたいなものができている気がする」と話していた。

 立憲民主党の代表選は特別国会の後に行われる見通しだが、野党共闘や経済政策をめぐり、どのような政策論争が行われるのだろうか。(『ABEMA Prime』より)
 

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