増える“若手ハンター”、一方で業界には課題も “クエスト”で狩猟のデジタル化目指す企業
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 野生動物を捕らえる職業・ハンター。人間が古来から生業としてきた日本の狩猟業界に今、ある変化が起きている。

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 日本の狩猟免許保持者の推移を表すグラフを見てみると、ベテランハンターの引退にともない、ハンター全体の人口が減少しているのに対し、ジビエ肉人気の影響などにより、20代から30代の“若手ハンター”の人口が増加しているのだ。

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 しかし、狩猟免許を取得したはいいものの、「狩猟場所が分からない」「技術が身につかない」といった理由から、ハンターとしての活動を行っていない”ペーパーハンター”の存在も。

 そんな中、この課題にデジタルを駆使して取り組む企業がある。

 「Fantとギルド肉プロジェクトは、狩猟をDX化することで、若いハンターたちの活躍の場を増やしていきます」

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 こう話すのは、株式会社Fantの代表で、自身もハンターとして活動する高野沙月氏。Fantは現在、ハンター同士がオンラインで交流するプラットフォームを運営している。

 「狩猟免許を取ったはいいんですけど、『どこで狩猟したらいいのかがわからない』とか『自分に狩猟を教えてくれる人を見つけるまで大変だった』という声が沢山あったんです。そういったものをインターネットで解決できるのではと思い、『Fant』を立ち上げました」

 このプラットフォームには現在、約800名のハンターが登録。活動記録や狩場の情報、さらには猟銃や罠など狩猟方法について、ハンター同士によるコミュニケーションがとられている。

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 そして、Fantにはもうひとつ、“狩猟のクエスト化”というサービスがある。

 「新たなジビエの流通モデルを作りたいと考えて、『ギルド肉プロジェクト』というのを公開しました。飲食店の方から全国のハンターに対して、ジビエのオーダーができるシステムを公開しております。例えば、『何月何日までにシカをいくらの報酬で獲ってきてほしい』などの依頼を出して、マッチングしたハンターがハンティングで食材を調達してくるというシステムになります」

 クエストをクリアし報酬を得るという、まるでゲームのようなシステム。導入の背景には、狩猟業界のある課題が関わっているという。

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 従来のビジネスモデルは、ハンターが獲物を仕留め、食肉処理施設に搬入。食肉処理施設はそれを買取り、飲食店や卸業者に販売する。しかし、既存のモデルでは3者それぞれに課題があり、結果としてジビエ肉の価格高騰や廃棄につながってしまうという。

 「ハンターは、狩猟に行く前に自分がどれくらいの報酬を受け取れるのかということを確認して狩猟に行くことが可能になります。食肉処理施設からすると、処理や解体以外の業務、例えば営業や受注などの作業の負担が減るので、結果として扱えるジビエの頭数のキャパシティを増やすことが可能になります。飲食店は、オーダー制なので納得感のある金額で取引が可能になります」

 すでにFantを通じて、帯広市などでジビエ肉の流通も開始しており、飲食店からは価格の安さに驚きの声も上がっているという。

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 サプライチェーンに変革をもたらすことで、狩猟業界の課題解決に取り組む。Fantが挑戦するクエストは始まったばかりだ。

 「ジビエの流通量は年々増え続けてはいます。ですが、利用率はまだまだ低い状況にあって、約7%位と言われています。捕獲されたうちの1割が流通にのっていて、他の9割は廃棄されてしまっている状況なんです。若手のハンターをもっと増やして、その若いハンターたちが楽しみながら活躍できる場を増やしたいと思っています」

(『ABEMAヒルズ』より)

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