映画を無断で10分程度に編集した“ファスト映画”を動画投稿サイトに公開し、著作権法違反に問われた高瀬拳也被告(25)らの第2回公判が16日、仙台地裁で行われた。
検察は、主導した高瀬被告に懲役2年と罰金200万円、共犯の男女2人には懲役1年6カ月と、1人には罰金100万円、もう1人には罰金50万円を求刑。高瀬被告らは、ファスト映画によって約700万円の広告収入を得ていたとみられている。
ファスト映画を巡って全国初の逮捕者が出た本事件。検察の求刑内容にニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した弁護士・中島博之さんは「初犯に対する求刑としてはやや重い」と述べる。
「今回の判決が、今後の“ファスト映画”に大きな影響をもたらすと思う。実際に”ファスト映画”が蔓延していた時期と比べると、1つ摘発したことで、10未満に(アカウントが)激減し、非常に大きな抑止力となった。また、見せしめ的に1つしか摘発しないわけではない。今後、コンテンツ海外流通促進機構『CODA(コーダ)』という権利者団体を中心に、映画会社も団結し、毅然として対応していく予定だ」
また、本事件の悪質性に関して中島さんは「新型コロナの感染拡大によって映画会社の売上が激減している中、自宅などでの巣ごもり需要を狙い、映画を無断で編集し、権利者が得られるはずだった利益を奪った。そこが非常に悪質といえる」と語る。さらに「最終的に組織5人ぐらいのグループでやっていたという点でも非常に悪質だ」とも述べた。
本事件では、刑事事件として裁判が行われた。仙台地裁は同日夕方に行われた公判で、高瀬被告に懲役2年、罰金200万円、執行猶予4年の有罪判決を言い渡し、ほか被告2人には懲役1年6月と執行猶予3年などの有罪判決を言い渡した。中島さんによると、今後は同一性保持権の侵害等で民事の裁判も予定しているという。
また、今後ネットに投稿される動画への影響について、中島さんは「“ファスト映画”が著作権侵害と示されたことで、今後、著作者に許可を得ていない“著作物の一部を切り抜いた動画”の投稿にも影響があるのではないか」と語っている。
(『ABEMAヒルズ』より)
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