急病人や事故などに迅速に対応するため、日本各地の消防で映像を活用した“通報システム”の利用が広がっている。
突然、事故の現場に遭遇してしまった。あるいは、家族の体調が急変してしまった。そんな時に真っ先に行うのは119番通報。通報から救急車が到着するまでの時間は、東京都内で平均6分35秒(東京消防庁の2019年データ)。救急車が到着するまで「何をしていいかわからない」という人も多いはず。
そんな事態を解決すべく、現場の様子を通報者が撮影し、ライブ映像で消防本部に伝える『Live119』という通報システムが開発された。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、Live119の開発会社である株式会社ドーンを取材。実際にLive119を体験した。
流れとしては、現場の住所や状況などを電話でやり取りし、消防の指令本部が必要だと判断した場合、通報者に撮影を依頼する。次に指令本部側が、通報者の電話番号に映像伝送用のURLを、ショートメッセージで送信。アプリは必要なく、カメラ使用の承諾などをして、最後にRECボタンを押すだけで、現場の状況をリアルタイムで伝えることが可能だ。
また、Live119では、その時の状況に応じて、遠隔で必要な処置の指示を受けることもできる。人命救助の知識がなくても、適切な処置の動画が送られてくるので、まるで専門家がすぐそばにいるかのような感覚で、救急車の到着を待つことが可能だ。
現在18都府県で実証実験や導入が進められているLive119。人命救助のほか、火災現場での消火活動や避難誘導など様々な場面での活用が始まっている。株式会社ドーンの担当者である品川 真尚さんは、Live119の反響について語る。
「『映像が見れていれば違った指導ができた』『救えた命がいくらでもあった』と聞いていて、『コストをかけずに実現できないか』という社会課題があった。ショートメッセージで送るだけという手軽さが消防や通報者にとって便利で、我々が想定していた以上の反響をいただいた」
一方で、見えてきた課題も…。
「社会的認知というところが一番の課題。例えば、通報者が現場の映像を送っているにも関わらず野次馬が『なんで映像を撮影しているんだ』『やめろやめろ』と制止するという現場もあったりして、そういうのを我々も恐れていたんですけど、実際にそういったお声をいただきます」
そのほかにも、この映像通報システムは「あらゆるコミュニケーションのサポートに応用できる」と話す品川さん。
「実際にコロナ禍を踏まえて、市役所の窓口で使っていただいたりしています。例えば『書類の書き方がわからない』そんなときにこのシステムを使って、スマホで送っていただければ、『ここで間違っているのね』『そこは書いてください』『飛ばしてください』というコミュニケーションがはかれます。これもある地方都市で導入いただいていまして、大変な成果を上げています」
(『ABEMAヒルズ』より)
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