オンライン通話で会話をする人々が楽しんでいるのは“人狼ゲーム”。市民側と敵である人狼側に分かれて会話をして、その発言内容などから人狼を探し出していくゲームだ。
仲間内でゲームを楽しんでいるように見えるが、実はこの人狼ゲームの参加者は、就活生と採用企業側の社員。会社説明会の真っ最中だ。今、企業と学生側の就職後のミスマッチを防ぐ新たな説明会の形が注目されている。
学生と企業のマッチングという真剣な場でゲームを取り入れる“人狼合同説明会”を仕掛けたのは、大阪のITベンチャー「トラストリング」。その狙いについて、トラストリング「人狼合説」担当の亀井竜一さんに話を聞いた。
「“仮面姿”で自分を偽りながら就活をしている現状がある。そういった日本の就活のおかしいところに風穴を開けたい。今の就活と真逆をいくために、企業側が楽しい要素とかゲーム性を取り入れて、“就活生と企業を応援している日本一楽しい合説”をやっています」(トラストリング「人狼合説」担当・亀井竜一さん)
元々は自社で始めた“人狼説明会”に手ごたえを感じたことから、人材を募集したい企業の参加を募り、合同説明会として展開。学生はスーツ禁止、参加企業は仮装必須、さらに人狼ゲームを行うというパーティーのような説明会が人気を博している。
学生と企業の双方が説明会で出しがちな“表向きの顔”だけでなく、本来持っている“素の姿”を自然に引き出せるという人狼説明会。中小企業が恐れるミスマッチが生まれにくくなるメリットがあるそうだ。
しかし、人狼側が嘘をつき、正体を暴かれないように抵抗するのが人狼ゲームだ。ゲームを通して「嘘が上手い」「論理的ではない」などのマイナスな部分が知られてしまう危険性もある。その点について、自身も説明会に参加するトラストリングの吉川副社長に話を聞いた。
「ここで嘘つきか正直者かを見分けているわけではない。みなさんに会話ゲームで話を振ることができる。しかもそれは詰問ではなくて、ゲームの一部である。企業側と学生側が一緒にゲームをして笑いあっている状態を作ることが大事だと考えている。なので、『人狼ゲーム』そのものに価値があるわけではなくて、その後の面接、もしくはその後の会話をするときに、(緊張が)ほぐれた状態で臨めることが大事だと僕らは思っている」(トラストリング・吉川朝吉副社長)
過去2回の開催で、9人が内定に繋がったという人狼合説。今後は新たな説明会の形として広めていきたいと亀井さんは話す。
「まだ生まれて間もないサービス。今やっている就活と真逆の方向に行っている合説で、知名度が全然ない。でも、知ってもらえたらファンになってもらえる自信はある。このままどんどん人狼合説を続けて、色々な企業を巻き込みながら全国に展開していけたら」(トラストリング「人狼合説」担当・亀井竜一さん)
(『ABEMAヒルズ』より)
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