一つのアガリが遠かった。しかしその冬も、この試合で明けた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2021」11月19日の第1試合、今期これまでアガリに恵まれず、低迷していた昨期の準MVP、KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎（連盟）が嬉しい初トップを決めた。
この試合の対局者は渋谷ABEMAS・日向藍子（最高位戦）、赤坂ドリブンズ・鈴木たろう（最高位戦）、内川、U-NEXT Pirates・瑞原明奈（最高位戦）の並びで開始した。内川は東3局、親番で瑞原から3900点をアガる。今期、これまで5戦登板している内川はトップなしでラスが3回。アガれそうな配牌もあっという間に他家に追い抜かれ、競り合うことすらできない展開は珍しくなった。有効牌をそつなくまとめたこのアガリは、振り返ってみれば内川復調のターニングポイントだ。
南2局1本場、鈴木に大きく離されたところで、内川にチャンス手が入る。6巡目になんと高目なら倍満という超ド級のテンパイ、待ちは2・5・8筒だ。2筒はドラで、日向が1巡前に切り飛ばしている。内川は慎重にダマテンを選択。すると日向が先制リーチ、直後に内川が持ってきたのはロン牌の7筒だ。
日向の河を一瞥すると、内川は1・4・7筒に待ちを変えて追っかけリーチ。さらには瑞原にも追っかけリーチがかかり、3軒リーチとなるも内川は高目の7筒をツモ。リーチ・ツモ・タンヤオ・平和・三色同順・赤・ドラ・裏ドラ3の2万4000点（＋300点、供託2000点）、望外の三倍満ツモを決め、開幕から1カ月半を経て、ようやく初トップを勝ち取った。
トップが初なら、インタビューに登場するのも今期初めての内川。「今日で6戦目、これまでまったく戦えていなかったので、ほっとしています」と喜びを噛みしめるように語った。ツキに見放されたような敗戦が続き、状況を変えたいと願うあまりに神社へお参りへ出かけたこともあり、「神様に怒られるんじゃないかってくらい、はしごしましたね」と笑いながらエピソードを明かした。三倍満をアガれた時は「今日は赤もドラもいっぱい来てくれて神様ありがとう！」と思わず心の中で神様へお礼をしたと語り、この日一番の笑顔を見せた。
この試合開始前の時点で、内川はアガリ率が0.09と全選手中最下位。昨期、勝負手を決めまくり、佐々木寿人（連盟）に次ぐ準MVPとなったエースが、アガリに長く見放されていた。内川はこの勝利に最後まで笑顔いっぱいで、ファンへ向けて「本当にたくさんの方に心配されたり応援されたり。やっぱり負けている時に応援されるとグっと来ますね。これからは勝利を積み重ねて、皆さんを熱くしたいなと思います」と力強く“開花”を宣言した。また、頼れるエースの爽やかなスマイルには、「ウッチー良かったね！」「強かった、内川お疲れ様」「全然心配してない！頼みますよ！エース」とファンからの声援が飛び交っていた。
【第1試合結果】
1着 KADOKAWAサクラナイツ・内川幸太郎（連盟）4万2900点／＋62.9
2着 赤坂ドリブンズ・鈴木たろう（最高位戦）2万4000点／＋4.0
3着 渋谷ABEMAS・日向藍子（最高位戦）1万9900点／▲20.1
4着 U-NEXT Pirates・瑞原明奈（最高位戦）1万3200点／▲46.8
※連盟＝日本プロ麻雀連盟、最高位戦＝最高位戦日本プロ麻雀協会、協会＝日本プロ麻雀協会
◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ（各16試合）、さらに上位4位がファイナルシリーズ（12試合）に進出し、優勝を争う。
（ABEMA／麻雀チャンネルより）
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