数々の名局を作り、また見てきたベテラン棋士にして「僕はこれが見たかった」というほどの、熱く激しい戦いが実現した。女流による早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント準決勝・第1試合、チーム里見とチーム西山の対戦が11月20日に放送された。この試合は両チーム譲らず、最終第9局までもつれ込む大接戦。さらに最終局には里見香奈女流四冠、西山朋佳女流三冠という女流棋界の2トップという、リーダー対決となった。これに、チーム西山の監督を務めている藤井猛九段も「これが見たかったんですよ」と、1人の将棋ファンに戻って興奮。期待通りの名勝負の後には「見応えがありすぎて、まだボーッとしている。素晴らしい」と最大級の賛辞を贈った。
整いすぎたほどの舞台にふさわしい好勝負を目の当たりにし、すぐには言葉が出なかった。藤井九段は、オリジナル戦術「藤井システム」を駆使して将棋界最高峰のタイトルである竜王を3連覇した実力者。また、そのユーモア溢れるトーク力でも人気で、放送対局やイベントなどでの大盤解説でも、ファンを喜ばせている。対局者、解説者として数々の名局を目の当たりにしてきた棋士ではあるが、女流初の団体戦、かつ決勝進出をかけた一局が女流棋界の最高峰ともなれば、興奮が押さえきれなかった。
戦型は先手の西山女流三冠が中飛車、後手の里見女流四冠が三間飛車という、予想通りの相振り飛車。序盤は西山女流三冠が攻め、里見女流四冠が受けるという展開になったが、中盤から戦いが激しさを増すと、最終盤には里見女流四冠が厳しく迫り、西山玉に詰みがあるかどうか、というぎりぎりの勝負になった。わずかなミスも許されないような攻防に、藤井九段も息を潜めて見守っていると、西山女流三冠が逃げ切って勝利を収めた後も無言。しばらくして「ちょっとまだハラハラし過ぎていて、声が出ません。見応えがありすぎて、まだボーッとしていますね。素晴らしい」と称えていた。
両チームの選手が死力を尽くして戦った末に迎えたリーダー同士の決戦に、藤井九段同様にファンからも称える声が続々と寄せられ「これは最後に相応しい」「全俺が泣いた」「みんな号泣です」「これは名勝負」といった言葉でABEMAのコメント欄が埋め尽くされていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)