カブトムシにクワガタ……。今も昔も絶大な人気を誇る昆虫界のスーパースター。子どものころ、毎年夏休みになると飼っていたという人も多いのでは。
そんな可愛がっていた昆虫も夏が終わって季節が秋に差し掛かるころ、命は尽き、お別れの時がやってくる。仕方のないこととはいえ、飼い主にとっては悲しい現実。そんな中、「楽しい時を一緒に過ごした昆虫をきちんと供養したい」という飼い主の想いに応え、死んだ昆虫の葬儀と埋葬を執り行う“昆虫葬”というサービスが話題となっている。
手掛けるのは、兵庫県尼崎市にあるペットの葬儀社『愛ペットセレモニー尼崎』。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、その運営会社である株式会社アビーコムの北治専務に話を聞いた。
「小さい子どもが飼育する最初の生き物って昆虫を飼うことが多いと思うんです。その昆虫の供養をもって、“命の大切さを学んでほしい”というところから立ち上げたのがきっかけです」(以下、株式会社アビーコム・北治美津子専務)
動物の命を真剣に考えるペット葬儀社だからこそ、ペットとしての“昆虫”に目を付け、発案者である社長の構想から数年を経て、おととし11月に昆虫葬のサービスを開始。最初の年に約20件ほどだった申込件数も、翌年には倍の40件、そして今年は約100件と年々増えているという。
亡くなった昆虫は、直接来園してお墓に納めるか、乾燥剤やクッション材の入った専用の“郵送キット”を使って送る方法があり、その後、昆虫専用のお墓として設置してある『昆虫天国』に埋葬される。納められた昆虫は、時間をかけて土に還っていくという。埋葬後は、毎月、お坊さんがお経をあげるなど手厚く供養される。
その運び込まれる昆虫のほとんどは、カブトムシかクワガタで、幼い子どもの飼い主も多く、北治さんは添えられたメッセージに思わず心を打たれることもあるという。
「一人ひとりのメッセージを見ると、それはね『昆虫とか関係ないんやな』と思うから、その文面を拙い字で『ありがとう』って書いてるのだけでも見るとグワッときます。そういう手紙が圧倒的に多いです」
子どもたちの手紙から昆虫に対する愛情や、命あるものすべて生き物の種類に隔たりはないと改めて感じたという北治さん。昆虫葬の今後については「こんなにたくさんの皆さんの希望をいただいてるんだったら、しっかりと作りこんだ状態で長く、『ずっとやってくれてるんやな』と思っていただけるような供養で続けていきたい」と明かした。
天に召された昆虫の葬儀と埋葬を執り行う“昆虫葬”。このサービスに『ABEMAヒルズ』コメンテーターのアーサー・ホーランド牧師は「亡くなった昆虫に対しての憂いや、自分の中にある悲しみと向き合わされる」と話す。
「牧師として結婚式や葬儀に行く機会があるが、結婚式は人生の楽しいイベントとして喜びをあらわす場所。一方で、葬儀はすごく命の尊厳や、生きていることの尊さや虚しさ、亡くなることの悲しさによって、喜怒哀楽が揺さぶられる場所だ」
葬儀は何のために行うのか……。アーサー牧師は「尊い命に対するリスペクトする儀式」だと話す。
「生きて一緒に色んなことを体験させてくれて『ありがとう』という気持ちに自分もなるし、その人に対する敬意というかリスペクトをあらわす場所。頑張って生きていこうという気持ちになる場所」
いつかは訪れる“死”。アーサー牧師は葬儀を通して、「逆に自分自身の死に対して向き合うきっかけになり、どんな生き方をするのかに繋がる。死を知ることで、ヒントが与えられたり心に何か感じてメッセージになる」と締めくくった。(『ABEMAヒルズ』より)
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