この様子だけを見ていれば、およそ将棋の対局を見守っているとは思えないだろう。女流による早指し団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント準決勝・第2試合、チーム加藤とチーム伊藤の対戦が11月27日に放送された。チーム伊藤の監督を務めた屋敷伸之九段は、弟子であるリーダー伊藤沙恵女流三段をはじめ、室谷由紀女流三段、石本さくら女流二段を、その穏やかな性格で包み込む“いやし系監督”として支え、チームを予選突破に導いた。この準決勝では惜しくもスコア3-5で敗れ「監督である私の責任」と語ったが、女流棋士3人が戦う様子を監督室で1人、大興奮しながら見守っている様子がファンの笑いを誘い続けた。
「うおー」「ああ、すげぇ、ドキドキするな」「まだワンチャンもツーチャンもある」。この反応、スポーツや屋敷九段の趣味であるボートレースの観戦であれば実に自然だが、これが将棋観戦だからおもしろい。女流棋士3人と一緒にいた時間では「全然大丈夫ですよ」「いつも通りで」と励ます言葉を続けた屋敷九段は、精神的に大きな支えとなり、伊藤女流三段も勝負どころの一局を前にタイムアウトを取ったが、これが大きな効果をもたらし見事に勝利。対局後、伊藤女流三段が「先生が監督タイムで来てくださって気持ちが(落ち着いた)」と語ると、屋敷九段は「なんにもしてないですけど」と笑っていた。
ただ、チームと離れて監督室に入ると、そこからは興奮の連続だ。形勢が二転三転することも多い今回の大会。対局者も心中穏やかではないが、見ているしかない監督としても、ドキドキしっぱなしなのだろう。「いい利かし、いい利かし!そうそうそう、いいね」「よしよしよし、いいよー」「ひえ!強すぎる」と、次々に熱いコメントが飛び出すと、これにはファンからも「観る将ヤシモン」「やしもん最高」「ドキドキしてるw」といった反応が続いた。きっと屋敷九段の様子を見て、同じ気持ちだというファンも多かったことだろう。
◆第2回女流ABEMAトーナメント 第1回は個人戦として開催され、第2回から団体戦に。ドラフト会議で6人のリーダー棋士が2人ずつ指名し、3人1組のチームを作る。各チームには監督棋士がつき、対局の合間にアドバイスをもらうことができる。3チームずつ2つのリーグに分かれ総当たり戦を行い、上位2チームが本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。チームの対戦は予選、本戦通じて、5本先取の9本勝負で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)