テニス大会、オリンピック…対中国で割れる対応に安藤美姫「自分が現役選手だったら複雑な気持ちで悩んでいると思う」
選手への影響は?安藤美姫「集中しているはず」
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 中国の張高麗元副首相との性的関係を強要されたと告白した後、行方が分からなくなっている同国のプロテニスプレーヤー・彭帥選手。

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 問題を受け、世界の女子プロテニスを統括するWTA(女子テニス協会)は中国、香港でのトーナメントをすべて中止すると発表、その毅然とした姿勢を称賛する声が集まる一方、男子プロテニスツアーを運営するATP(男子テニス協会)、4大大会などの主要トーナメントを運営するITF(国際テニス連盟)は中国における大会を続行する意向を示している。

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 同じテニス協会でも分かれている判断。背景について、ITWA(国際テニスライター協会)の会員で、「国際テニスの殿堂」の審査員も務める神仁司氏は次のように説明する。

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 「WTAは中国で9つもの大会を開いているし、会場が深センのWTAファイナルズというツアーの最終戦は年間成績上位8人しか出場できないもので、2019年から10年にわって開催するという契約を交わしている。そのくらい中国マーケットをあてにしている事実はあるし、お金の面で失った部分は大きい。しかしWTAは1973年に男女格差を是正しようと立ち上がったという歴史的背景もあるので、スティーブ・サイモン会長の今回の決断は当然のものだと思う。選手たちのためにも、お金よりも大事なものがあるというメッセージを世界に発信することは大切だし、大会は欧米や日本でも開催されるので、中国ばかりがテニス市場ではないということだ。

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 一方、テニスの世界は女子テニスを統括するWTAの他、男子テニスを統括するATP、そしてオリンピック、パラリンピック、4大メジャーのグランドスラムをメインに、ジュニア、シニア、車椅子やビーチなども統括するITFと棲み分けがなされていて、団体間の上下関係のようなものは全くないので、現時点で判断が分かれているのは仕方ない部分もあるし、今後、変わってくる可能性もある」。

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 フィギュアスケート元世界女王の安藤美姫は「WTAは賢明な判断、女性選手のことを思って温かい判断をされたと思う一方、IOCに近いITFの“大会を中止したくない”という思いも理解はできる。私が同じ現役のプロテニス選手だったとしたら欠場も考えるかもしれないが、仮にオリンピックの代表選考に絡んでくるような大会だったらとしたら、ものすごく悩んでしまう」と心境を吐露。

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 神氏は「ジョコビッチ選手などが意見を表明しているが、選手たちは国の代表というよりも“コスモポリタン”、あるいは独立精神旺盛な“個人事業主”という意識があるので、WTAの決断を支持しているとは思う。ただ、ITFの場合はオリンピック、パラリンピックと切り離せない部分もあるし、ファンの意見も分かれていると思う。現時点ではそういった反応も冷静に受け止め、見守ってあげないといけないと思う」と応じた。

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 中国に対する姿勢は、来年2月の北京冬季オリンピック・パラリンピックをめぐっても割れている。新疆ウイグル自治区での少数民族への人権弾圧などを理由にアメリカとオーストラリアがいち早く“外交的ボイコット”を表明したのに続き、イギリスとカナダも呼応する姿勢を見せているが、中国外務省の趙立堅副報道局長は「アメリカは自分の誤った行為のせいで代価を払うことになる。少しお待ちいただきたい」と反発。日本はと言えば、岸田総理大臣が7日、「オリンピックの意義だとか、さらには我が国の外交にとっての意義等、総合的に勘案し、国益の観点から自ら判断していきたいと思っている」と述べるにとどまる。

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 中国出身の作家でジャーナリスト、チャイニーズドラゴン新聞編集主幹の孔健氏は、「私は張さん(元副首相)が日本に来た時には案内もしているし、性格をよく知っている。アリババのジャック・マーさんも行方不明になったと報じられたが、中国は“今は家にいなさい。外へ出なくていいよ”と言うことが多い。彭帥選手も“強要された”と言っているが、絶対に安全だと思う。殺すような時代ではない。みなさん安心してください」と持論を展開。

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 「中国は何よりもメンツが一番だから、今は冬のオリンピックを目指して頑張っているし、その精神は平和だ。中国には民主主義がない、人権がない、とよく指摘されるが、私が2年前に新疆ウイグル自治区のウルムチを見てきた。確かに貧富の差はあるが、それほどの問題ではないし、コロナ対策でも、日本ができないようなことを中国は頑張った。スポーツはスポーツなので、五輪精神に反することはやめてほしい」。

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 安藤氏は「オリンピックが他の世界選手権などと違うのは、“平和の祭典”を謳い、人種や宗教などの違いに関係なく世界中の気持ちが一つになるところだと思う。もちろん、国旗を掲げて戦うし、政治も絡んでくる。ただ、ひとりひとりの選手としては、自分が輝くべき場所で力を発揮することが責任だと思っているはずだ。外交的ボイコットを表明している国の選手たちは複雑な気持ちになっているかもしれないが、オリンピックの代表選考会や競技に向けて集中し、調整していると思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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