就職情報などを提供する大手「マイナビ」が7日、一部の就活生に送ったメールのタイトルに「大東亜以下」と書いてあった問題について「学歴によって一部の学生が有利になるようなことは行っていない」と説明し、誤送信を謝罪した。
【映像】「1day仕事体験です!」誤送信メールの本文(50秒ごろ〜)
発端は6日、マイナビが送信したある企業のインターン募集のメールだ。メールの件名には「〈第1〉大東亜以下9」(※「9」は正しくは丸数字)という、不可解なタイトルがつけられていた。
この件名が、私立大学群の大東文化大学、東海大学、亜細亜大学を指し、それぞれの頭文字から「大東亜」以下の大学と学歴の区分けをしているのではないかとして、SNSで炎上。「大東亜以下」「学歴フィルター」というワードが一時トレンド入りする騒ぎになった。
しかし、メールを受け取ったのは、上記の大学に通う学生だけではない。法政大学の3年生・佐々木さん(仮名)にもこのメールが届いたという。
「大東亜って言ったら一定の大学のランクなわけじゃないですか。そこに以下ってついたら、それよりも下の大学をさすのかなって解釈しちゃいますね。メールで大学群の名前が出てくるってことは悲しいというか、残念というか」(佐々木さん)
就活にいそしむ中、届いたメールをみて、愕然とした佐々木さん。どんな学生でも入社試験にエントリーできるはずだが、もしも“学歴”というフィルタリングが最初から存在したら、学生たちはどう思うのだろうか。
街頭インタビューでは、就活を終えた大学4年生から「悲しくなります。そのエージェントの会社は使うのやめようかなって思っちゃうと思います」といった声が出た。また、同じく就活を終えた別の大学4年生は「企業がせっかく人柄重視って言ってるのに、自分にそれ(メール)が届いたら、ちょっとショック受けるかな……」と答えた。
この騒動の真相を「マイナビ」に問い合わせると、広報担当は「当社は学歴によって、一部の学生が有利になるようなことは行っておりません」と回答。「当該メールは『マイナビ新卒紹介』にご登録いただいた方のうち、首都圏在住の皆さまにお送りする予定のメールでしたが、作業の際コピーしたワードがペーストされ、誤ったタイトルのメールが送信されてしまいました」と説明した。
一方で「本件を重く受け止め、再発防止を徹底する」としながらも、学生を「大東亜以下」と「それ以外の大学」という2つのグループに分けていたのは事実だという。
「ただし分けたのは、ちょうど学生の人数を半分ほどに分けられるからです。あくまでも人数を分けるための区分として使っていたもので、サービスの内容は『以上』でも『以下』でも同じものです」(マイナビ広報担当)
さらに件名で「大東亜以下」の次に「9」をつけた理由について「“大東亜以下9”とは、大東亜以下の学生に指導を行うキャリアアドバイザーが9名いる、という意味の用語でした」と説明。「誤解を与える様なメールをお送りしてしまい、大変申し訳ございませんでした。学生・企業双方が納得できるマッチングに努めてまいります」と謝罪した。
■ “以下”の言葉が「学歴フィルター」を想起? 学生が持った疑念
このニュースに『ルポ風営法改正』の著者でBuzzFeed Japan News副編集長の神庭亮介氏は「受け取った人の気持ちを考えると、このメールの件名はありえない」とコメント。「法政大学の学生もこのメールを受け取ったと証言しているが、だとすると『大東亜以下』とは一体どういう意味なのか謎で、わからない部分が多い」と首をかしげる。
「企業側が『学歴“だけ”』で輪切りにするのは絶対によくない。『学歴“も”参考にする』という考え方であれば、問題ないのではないか。たとえば足の速い人が陸上の大会で優勝したり、音楽の得意な人がコンクールで優秀な成績を収めたり、そういった活動と同じように、東大に合格したことも評価されるべきだ。それで選考が有利になったとしても、ひとつの努力の形と考えれば一概に否定されるものではない」(神庭亮介氏・以下同)
その上で神庭氏は「就職活動の中で東大が頂点かというと、必ずしもそうではない」と語る。「偏差値帯を問わず『ガッツのある学生がほしい』という企業もあれば、『こういう人材がほしいから、△△学部の学生を雇いたい』と学部を重視する企業もある。『この大学なら全部通します』『あの大学は全員落とします』という文字通りの学歴フィルターだと大問題だが、学歴をワンオブゼムとして見る分には許容範囲だろう」と見解を述べた。
「今回の件に関して言うと、『大東亜』より『以下』というワードの方により違和感を覚えた。マイナビは学生を2つのグループに分けていたというが、ではもう1つのグループは何という名前なのか? 単に分けるだけならアルファでもオメガでも良かったはず。『以下』というあまりにも愛がない言葉によって、学生は学歴フィルターを想起し、『学歴だけで振り分けられているのではないか』と疑念を抱くことになった。これが一番の問題だ」
また、神庭氏は「学歴が悪なのではなく、あくまで一つの尺度として扱うべきだという話。一方で、お金がないと大学にいけないような状態が放置されていると、『本人の努力ではなく“親ガチャ”じゃないか』と、また別の批判が生まれてしまう。努力次第で誰でも大学に行けるように、国が貧困家庭を支援するなど、子どもの教育環境を整えていくことも必要だ」と訴えた。(『ABEMAヒルズ』より)
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