無敗同士の新鋭対決は、1ラウンドに倒し倒され3ダウン。壮絶な乱打戦を締めくくる強烈な左フックが炸裂すると解説が「これはダメだ」と思わず興奮。視聴者からも「面白すぎる」「ベストバウト」などの声が多数上がった。
12月18日に東京・後楽園ホールで開催された「Krush.132」で、寺田匠(ジムK-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)と松山勇汰(TEAM TOP ZEROS/LARA TOKYO)が対戦。ダウンの応酬の末に1ラウンド2分22秒、1度はダウンを奪われた寺田が、このラウンド2度目のダウンを奪い返してKO勝利を収めた。
これまで3戦3勝、20歳の寺田と2戦2勝で18歳の松山。ともに若手の有望株といえる無敗同士の対決。ともに2度K−1大会に抜擢されると、寺田は勝利を。松山は2KOとインパクトを残している。そんな寺田は相手を意識してか、試合前には「できるだけ早く終わらせる、1分以内に倒す」と勝利宣言まで飛び出していた。
試合は開始こそ互いの距離を探る静かな攻防だったが、松山の左ハイを合図に両者ローやミドルの激しい蹴り合いを展開する。さらに寺田がローで揺さぶりをかけると、松山がそれに動じず前へプレッシャーをかける。その後、寺田がリンク中央まで一気に松山を押し込むと、フルスイングの左フック。渾身のパンチを被弾し、脳を揺らされた松山は一度はマットに手をつくものの、すぐに立ち上がるなど気持ちの強さを見せた。
「早く終わらせたい」という公言どおり、ラッシュで畳み掛ける寺田の攻撃を必死にガードしてこらえる松山。かなりダメージは残っているようにも見えたが、突如スイッチが入ったようにボディへ左のヒザを突き刺し、わずか30秒後にはダウンを奪い返す。
しかし、松山同様にすぐに立ち上がった寺田は、何事もなかったかのように松山にボディの連打をねじ込むと、至近距離での打ち合いからとどめの左フックをたたき込んで松山をなぎ倒した。リングの隅、ロープ際にバタリと倒れた松山は立ち上がれず、両グローブで顔を覆いながら天を仰いだ。
わずか2分22秒、倒し倒され計3度のダウンの応酬が展開されたことを受け、ABEMAの視聴者からは「すごくいい試合」「すげえ打ち合い」と興奮気味のコメント。さらに「KO決着、若者らしい試合」と両者を讃えるコメントも並んだ。
解説を務めた石川直生はダウン直後「これはダメだ。凄い試合でした」と興奮気味に声を上げたが、続けて「寺田選手もヒザでダウン奪われてダメージがあったはずです。自分の攻撃力の強さに迷いがなかったのが大きかった」と述べ、勝者の気持ちの強さが勝敗を分けたポイントと振り返っていた。