Twitterに投稿され続ける、おいしそうな料理画像の数々。これが将棋の棋士によるものと聞くと、意外に思う人も多いかもしれないが、その料理を作っている棋士の師匠は、まるで別のことを考えていた。8組の師弟による早指し棋戦「第1回ABEMA師弟トーナメント」に出場する、深浦康市九段(49)と佐々木大地五段(26)。2人の共同運営による「深浦一門」というTwitterアカウントでは、お互いの活動報告もありつつ、佐々木五段の手料理が投稿されることでもファンに知られている。ただ、この画像のかわいらしさ、さらには量を見て、深浦九段には疑問が続々。大会恒例のチーム動画収録時に、これを解決すべく弟子を直撃した。
深浦九段は、最後まで決して勝負を諦めない粘り強い棋風と精神力の強さで、王位のタイトルを3期獲得。大活躍中の藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)に勝ち越している数少ない棋士でもある。弟子の佐々木五段はデビュー以来、高勝率をキープし続け2018年度には最多勝利賞、2019年度には最多対局賞も受賞している。将棋の内容だけでなく、将棋に向き合う姿勢について師匠から弟子に厳しく指導が入っているが、盤を離れたところでは仲のいい師弟だ。
チーム動画は、佐々木五段の最大の趣味とも言える料理で、深浦九段と共同作業でハンバーグを作ろうという企画になったが、ほぼ料理初心者という深浦九段は「エプロン、中学生の家庭科以来かも」というほどで、具材の一つである玉ねぎを炒めるところでも悪戦苦闘。それでも徐々にコツをつかんだか、無事にこなすと佐々木五段から「完璧ですね」と褒められ、照れ笑いまで見せていた。
しかしこのままハンバーグを完成させて、おいしく食べて終わり、というわけにもいかない。そこで深浦九段は、佐々木五段がTwitterに投稿している画像について検証していくことになった。手間のかかる料理、深夜に作ったと思われる投稿があったことに「料理に時間使いすぎてない?料理の研究が深まっていくのもいいけれど、将棋の研究も怠らずに」とチクリ。さらに深浦九段が気になったのは、料理の量とかわいらしさだった。コロッケ6個には「多くない?」、フレンチトーストに、うさぎの耳風にカットしたりんごが添えられていることに「洒落すぎてない?うさぎさんって、なんですか。これ女子ウケ狙いでしょ。その場に誰かいなかった?」と、1人で作っているという佐々木五段に、実は一緒に食べている誰かがいるのでは、と深読みした。
これには佐々木五段も「いないです。いたら紹介します」と否定したが、深浦九段はこの「紹介します」という言葉に反応。「言ったな!言質取りました!」とニコニコしていた。なお、完成していたハンバーグは上出来だったようで、弟子には「本当に見直した。彼女できたら(作ってあげて)」と、手放しで褒めていた。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールール。
(ABEMA/将棋チャンネルより)







