年末の国会がある問題をめぐり紛糾している。議論の的は布マスク、つまり倉庫に保管されている大量の“アベノマスク”だ。
【映像】見渡す限りダンボールの山…“アベノマスク”保管倉庫の様子
去年4月、マスク不足により、当時の安倍総理大臣は「全国で5000万枚あまりの世帯、全てを対象に1住所当たり2枚ずつ配布することとする」と発表。6月頃に配布がほぼ完了したはずが、実は倉庫には布マスクのダンボールが山積みになっている。ダンボールには全てアベノマスクが入っていて、その数は10万箱以上。在庫は8000万枚以上あり、厚生労働省によると去年8月から今年3月までにかかった保管費用はおよそ6億円。その後も増え続けているという。
政府はこの在庫マスクを有効活用するため、希望する介護施設等や自治体、個人への配布を行うと発表。これらの配布後に発生した残余については売り払いを行い、それでも残余がある場合には廃棄される。
ニュース番組『ABEMA Prime』に出演した元内閣官房参与で経済学者の高橋洋一氏は「会計検査院の報告書を見た。今回の話は『需給予測を間違ったけど仕方がなかった』という評価になっている。年度いっぱいにこういう(残余があれば廃棄)という予定は立てていたと思う」と話す。
なぜ、岸田政権になるまでアベノマスクは廃棄されなかったのだろうか。何か、政治的バイアスはなかったのだろうか。ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「岸田政権の政局争いの結果だと思う。安倍さんが岸田さんに対抗するのを止めるために『当時の安倍総理がやったことはよくなかったよね』と明確にするための廃棄決定ではないか。菅前総理は安倍政権を継承していたから、アベノマスクを捨てることにはならなかったのでは」と意見。
これに、高橋氏は「政治的にはその可能性もある」とした上で「行政的にいうと会計検査院の話でほとんど終わりだ。あとは粛々とやるだろう。これをプレイアップするかしないかは政治の話だ」とコメント。また、余剰分の約8000万枚の配布方法について、ひろゆき氏は「厚生労働省の無能さがここに現れている」と指摘。「電話を可能にする時点で人件費を考えたら絶対に損だ。しかも、ファイルをダウンロードしてメールで送る。本来であればGoogleフォームなどにして、住所などのデータを配達会社に送ってもらって、自動的に倉庫の方から発注してやれば、人件費がかからない。おそらく、これは人に1回データを預けて、それをいちいちファイルを開いて、どこかに住所を送る。こういうのをやっちゃうから厚生労働省は頭が悪いと思ってしまう。厚生労働省には、こういうのを任せない方がいいのではないか」と苦笑いを浮かべた。
アベノマスクについて、希望者に配布し有効活用を図った上で、年度内をめどに廃棄を行うと表明している政府。すでに24日から自治体や個人への配布受付が開始している。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側