普段は誰よりも効率を意識して打っているが、新たな選択(別解)を見つけた時、躊躇なく自分の選択へ突き進むのが赤坂ドリブンズ・鈴木たろう(最高位戦)という男だ。「ゼウスの選択」と呼ばれるその打牌選択は、時として牌効率やリスクなど、どこかに置き忘れたような印象さえ与えるが、その先にある高打点のアガリがあり、これまで何度もファンを魅了してきたが、今期もそんなアガリを予感させる一打があった。
場面は12月10日、第2試合の南1局1本場・6巡目。5万1800点のトップ目で親番、ここで加点すれば大トップが狙えるという局だった。手牌にはマンズが多く集まったものの、出来メンツは1・2・3索の1つだけ。發の対子がなんとか鳴ければ、なんとか親番連荘できるかどうか、と思われたところで鈴木はなんとメンツを壊す3索に手をかけた。明確なホンイツ狙いだが、テンパイにはさらに遠ざかる選択。これには解説の渋川難波(協会)が「行っちゃったー!」と叫び、実況の松嶋桃(協会)も「ワクワクしますね」と興奮。ファンからも「自由過ぎるw」「ものすごい欲を見たw」と、その選択に半ば呆れたような笑いも交じるほどだった。
本人はどう考えていたか。「一番の狙いは打点もあるホンイツ狙い。この手牌は發が鳴ければ早い手ではあるものの、發が『持ち持ち』で鳴けなかった場合は、ホンイツに向った方が、アガリが早いケースも多い」と、打点だけでなくスピード面でもメリットがあるとした。また、ツモってきた八万などを切るようでは、さらに發の頼る度合いも強くなる。「3索から切っておくと、發以外からでも仕掛けやすい牌姿になる」と、鳴きやすさについても説明した。
もちろんこれも、点棒に余裕があるからの選択で「仮に2900点のアガリの価値が大きい場面だったら、發に懸けて1・2・3索メンツを崩さずに通常の手組みをする」。鳴く想定の手作り、一色手に向かうことで、相手から逆襲を受けた時の守備もしやすく「通常のメンツ手に比べて放銃率も下がる」と、“欲張りゼウス”と見られた選択も、攻守のバランスを考えたものだった。
少考の間には打点、鳴けなかった際の門前での手組み、鳴きやすさ、アガリ率、放銃率、点棒状況、巡目など、考えられるもの全てを整理し「1局単位で一番期待値が取れそう」という答えから、鈴木の指は3索に伸びた。結果としてアガリには結びつかなかったが、この映像を見たライバルたちは、さらに鈴木への警戒心を強めることだろう。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)





