「藤井時代」の幕開けを告げた竜王戦七番勝負 藤井聡太竜王、衝撃の4連勝で最年少四冠達成を振り返る
【映像】ABEMAでみる

 出場した4つのタイトル戦で、全てタイトル獲得。将棋藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)の強さを形容する言葉は、2021年までに出尽くした感さえある。デビューから年々、対戦相手のレベルが上がるにも関わらず通算勝率、2021年度の勝率はともに8割以上をキープ。その上で、超トップクラス同士がぶつかり合ったタイトル戦でも勝ちまくり、ついに最年少四冠を達成、棋士の序列1位に立った。激闘、苦戦もあった中、最高峰タイトルをかけての竜王戦七番勝負では、豊島将之九段(31)を相手に、圧巻の4連勝。いつか来るだろう「藤井時代」の幕開けを感じさせる、そんなシリーズになった。

【動画】藤井聡太竜王が最年少四冠を達成した竜王戦

 藤井竜王と豊島九段は、2021年だけで3つのタイトル戦を戦った。開催順にお~いお茶杯王位戦七番勝負、叡王戦五番勝負、そして竜王戦七番勝負。全て合わせて「十九番勝負」とも呼ばれたが、成績は王位戦4勝1敗、叡王戦3勝2敗、竜王戦4勝0敗で、11勝3敗と圧倒した。かつて“天敵”とも呼ばれた豊島九段には完敗した局こそあったが、得意の終盤だけでなく、序盤からの研究合戦でも上回るところを見せたことで、今まで以上に手がつけられなくなっている、というのが四冠達成時からの評判だ。

 藤井竜王は、豊島九段との連戦を年末のインタビューでこう振り返った。

 藤井竜王 豊島九段とは、王位戦、叡王戦、竜王戦と3つのタイトル戦で対戦することになって、振り返るとこちらが気づいていない構想で、リードされてしまう局が多かった印象があって、強さを感じるとともに、自分の課題を突きつけられました。

 戦うごとに感じていたのは、ハイレベルな対局になるほど需要度が増す序盤の研究。竜王戦のように2日制の長時間対局でも、1日目の午前中で大きなミスがあったとすれば、その後に持ち時間が何時間あろうとも、形勢をひっくり返すのは困難になる。将棋ソフト(AI)を活用し、どれだけミスなく互角で指し進める、もしくはややリードを奪えるかに注力した。逆に藤井竜王は優勢、勝勢を意識した終盤を迎えると、必ずしも将棋ソフトが示す最善手ではなく、確実に勝つような手順で指し進めることも増えた。細い攻め筋で、リスク承知で勝ちに行くのではなく、悠々と勝つ「大人の将棋」も身につけたことで、激しさや鋭さとはまた違う、凄みもまとうようになってきた。

 王位戦、叡王戦と続けて敗れた豊島九段が、防衛に失敗すれば無冠転落となる竜王戦で4連敗するとは、藤井竜王の実力を知る棋士であっても、予想はしていなかったことだろう。それだけ2021年の藤井竜王は、それまでのSクラスの実力を、SSクラスを飛ばしてSSSクラスまで伸ばしたぐらいの印象を周囲に与えた。そういう4連勝だった。今月9日からは、渡辺明王将(名人、棋王、37)と、最年少五冠をかけたALSOK杯王将戦七番勝負で戦い始める。公式戦では珍しく1カ月近い間隔があった中、どれだけ力と研究を蓄え、さらに力強さを増しているか。2022年も早々から、令和の天才の指し手に見逃していいものなど、一つもない。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】藤井聡太竜王が最年少四冠を達成した竜王戦
【動画】藤井聡太竜王が最年少四冠を達成した竜王戦
【動画】藤井聡太竜王が最年少四冠を達成した竜王戦