6日に行われた世界テニス国別対抗戦ATPカップ、カナダ対ドイツの試合では、まさかの出来事が連続して発生。不運のボールパーソンの動きと働きに注目が集まった。
シングルス第1試合、カナダのシャポバロフとドイツのシュトルフの一戦で事件は起きた。第3セット、このセット最初のブレークポイントという緊迫した場面で、シュトルフの放った時速215kmのサーブがワンバウンドした後、ボールパーソンを務めていた少年のお腹を直撃。少年は痛そうな表情を見せながらもすぐに立ち位置に戻り、プレーは滞りなく進行した。
しかし、少年の受難はこれだけでは終わらなかった。そのわずか10分後、直前からフラストレーションがたまっていたストルフが、重要なポイントを落としてしまったタイミングでラケットを手で叩いて投げてしまう。大きく跳ねたラケットは先ほどのボールパーソンのもとへ飛んで行った。
試合を中継していたABEMAでは、ゲストにテニス経験のあるフォーリンラブのバービーが来ていたが、これには「あー投げちゃった」とコメント。少年は急に自分の目の前にラケットが飛んできて“ビクッ”となったものの、冷静にラケットを拾い上げるとストルフに手渡しして職務を全うした。
今年のATPカップは最近のトレンドである自動線審制度を導入しており、コート内にいるのは選手以外に主審とボールパーソンのみになっている。コロナ禍の影響もあり、テニス界でも密を避ける目的で人の省力化が進んでいるが、ボールパーソンの活躍はいまだ健在だ。国際映像に何度も映されることになってしまった少年だが、急な事態にも動じず仕事をきっちりと果たしていた。
試合はシャポバロフがシュトルフを破り、チームとしてもカナダがドイツを2-1で下した。これでカナダはグループC首位となり、4チームで争われる決勝トーナメント進出を決めた。2019年にはデビスカップ準優勝の経験があるカナダだが、国別対抗戦の優勝はこれまで一度もない。悲願の優勝に向けて、準決勝は連覇のかかるロシアと対戦する。