谷川浩司九段「光速の寄せ」をソフト解析「感覚は正しかった」「明らかに他より優れていた」/将棋・ABEMA師弟トーナメント
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 獲得したタイトル数は27期を数え、永世名人の有資格者でもある谷川浩司九段(59)。七冠独占、永世七冠などを達成した羽生善治九段(51)よりも少し上の世代で、一気に相手玉を追い詰める様子には「光速の寄せ」という異名がついた。この寄せについて、近年になり将棋ソフト(AI)で検証したところ、「人より3手、タイミングが早い」と言われる踏み込みの感覚が、実に優秀だったことが改めて証明された。

【動画】「光速の寄せ」について語る中村修九段

 谷川九段は、弟子の都成竜馬七段(32)とともに、「第1回ABEMA師弟トーナメント」に出場。予選Bリーグ1回戦・第2試合では、第1局にチーム鈴木・梶浦宏孝七段(26)と熱戦を演じた。この一局を解説したのが、谷川九段と同学年の中村修九段(59)だ。

 近年になってタイトル戦に昇格した叡王を除く7つのタイトルを獲得したことがある谷川九段は、初タイトルが21歳2カ月という史上最年少名人。その後も「光速の寄せ」を武器に大活躍、一時代を築いた。当時を知る中村九段は「攻めるタイミングが、昔から人より3手ぐらい早いかと思っていた。たいてい谷川さんは攻めると無理じゃないかと思っていたんですが、なんだかんだと手にしてしまう」と、周囲からすれば無理筋と思える鋭い攻めも、谷川九段がすればその無理も通る、という戦いぶりだったという。

 さらに中村九段は「最近、コンピューターでいろいろ解析してみると、その感覚が正しかったと。そういう感覚が明らかに他の人より優れていたという感じがしましたね」と、近年になって行われた研究の結果を紹介した。将棋ソフトは勝利への道筋が見えれば、ミスの危険を考慮に入れず、最短距離を全速で突き進む。人間の感覚からすれば、とても細くて渡りきれない道だと例えられることもあるが、谷川九段が「光速の寄せ」でそれに近いことをしていたと考えれば、合点がいく話だ。

 人には見えないスピードだからこそ「光速の寄せ」。将棋ソフトの発達で、このスピードが認識できるようになり、改めてレジェンドのすごさが再認識されたことに、ファンからも「今のAIで裏付けが取れてきたのか…」といった声が寄せられていた。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】「光速の寄せ」について語る中村修九段
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【動画】解説を務めた中村修九段
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