大学入学共通テストの試験内容が流出した問題で、東京大学の学生2人が女子高校生を名乗る人物から世界史の試験時間中にSNSを通じて問題を受け取り、回答を送り返した。その後の捜査関係者への取材で、同じアカウント名から他にも2人が事前に接触を受けていたことがわかった。
「先生の学力を測るために試験を解いてもらいたい。科目としては世界史と現代文を解いてほしい」「1月15日に体験授業をしてくださいと依頼された」(解答依頼を断った東大生)
27日、関与した受験生とみられる19歳の女性が香川県警に出頭し、この女性が大学1年生であることがわかった。警視庁が共通テストを受験していた経緯などについて調べている。
この問題について、米・イェール大学助教授で経済学者の成田悠輔氏は「今年の共通テストは、トラブルや事件が続いている。学生の皆さんも、警察の皆さんも、関係者の皆さんも大変だ」と同情する。一方で、試験時に不正とされるカンニングなどの行為については「長い目で考えると、許される方向に変わっていくのではないか」と持論を展開。その理由について、「仕事をしていくうえでは、誰に聞いても何を見てもいい。制限時間はあるかもしれないが、『誰と相談するか』『何を見るか』という制限はない。その中で『できるだけ良い仕事をする』ことを求められる」からだとした。
また成田氏は、現代の試験の体制を「なぜか100年ぐらい前の世界に戻ったような感じ」と表現しつつ、外部への接触が絶たれた環境で問題を解くのが当たり前となっていることに疑問を呈している。
今回の問題を踏まえて、今後は問題の解き方や試験の内容なども変わってくるのだろうか。成田氏は「試験やテストも世の中の動きに追いついてくるので、(仕事と同様に)制限時間内で(あれば)どこにいても誰に相談してもいい、アプリやソフトウェアを使ってもいいから一番良い回答にたどり着く、といった新しい形のテストや試験が生まれてくるのではないか」と推察。「今回の事件が良いか・悪いかを考えるのと同じくらい、今僕たちが“悪いこと”と決めつけてしまっていることも上手く活かして、将来に向けてより良い試験を作っていく方向に考えたら」と語った。(『ABEMAヒルズ』より)
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