開幕まで1週間となった北京オリンピック。中国国営の新華社通信によると、開会式の直前には北京市民らの「広場ダンス」が披露されるといい、会場の一角には、IOC=国際オリンピック委員会のバッハ会長の銅像もお目見えした。そんなバッハ会長は25日、習近平国家主席と会談。大会の成功に向け両氏は自信を覗かせた。
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27日の『ABEMA Prime』に北京から生中継で出演した千々岩森生・ANN中国総局長は「もちろんアスリートが活躍するスポーツの祭典ではあるが、正直に言って、政治的な色彩は非常に濃い。今年の秋には中国共産党大会が開かれ、習近平主席が異例の3期目に入っていく見通しだが、去年の党100周年式典と同様、権力基盤を強化するためも今回のオリンピックは非常に重要だ」と話す。
アメリカはウイグル自治区での人権侵害などを理由に北京大会に政府代表者を参加させない「外交的ボイコット」を発表。中国側は“オリンピックの政治利用だ”と強く反発する中、イギリス、オーストラリア、カナダなども相次いでボイコットを決定。日本も政府関係者の派遣は見送られることになっている。
「公には”来なくても気にしない”ということを言っているが、もちろんメチャクチャ気にしている。2008年の大会でもそうだったが、やはり他国のリーダー、特にビッグネームであればあるほど嬉しいし、そういう中に習近平主席がいて、“世界が称賛しているんだ”という状況を作りたかったから。だから内心穏やかではないだろうが、ロシアのプーチン大統領などは来ることになっているので、そこが今後どうなるかだ」。
当然のことながら中国メディアの関心は高く、北京の新聞を見ても、一面はオリンピックに関する記事が目立つ。ただ、北京市内ではオミクロン株の感染が拡大しており、新型コロナウイルスの話題も避けては通れないようだ。
「感染者数としては年末年始以降、1日あたり100〜200人くらいで続いてきて、今は2ケタ台、で推移している。北京には16の行政区があるが、例えば人口200万人の豊台区では、“全員PCR検査“がこの4、5日で3回も行われている。テレビ朝日の北京支局には豊台区に住んでいるスタッフが2人いるが、朝6時、7時に起きて、氷点下5度、10度という中で並んで検査を受けてから出社していた。やはり新聞、テレビ、メディア、それから政府は一生懸命盛り上げたいということでガンガンやっているが、今も市民の感覚が付いてこないという雰囲気があると思う」。
大会でも感染防止対策が強化され、観客は特定企業の関係者などに限定されることになった。
「一般のチケット販売はなくなったが、国営企業などには“割り当て”がある。だから無観客ではないが、半ば“動員的”な部分もあるので、北京市民からは“政府と繋がっている会社の人だけが行けるのか”といった不満の声も出ている」。
ただ、大会関係者や、メディア関係者の行動も厳しく制限されるようだ。
「東京大会ではコンビニに行っていた、といったことも報じられたが、北京大会に関しては、いわゆる“バブル”の中から出ることは絶対にできない。テレビ朝日でも、すでにバブルの中に入っているスタッフがいるが、我々が滞在先のホテルに行くと警察が完全に封鎖していて、出入りができない。同じ北京の中にいても、コンタクトが一切できない状況だ。さらに選手や大会関係者の方が陽性になった場合、隔離状態ののち、検査で2回陰性になれば復帰できるという体制が取られているし、大会終了後はそのまま帰国することになるので、同じテレビ朝日の関係者同士でも、結局会うことがないということになりそうだ」。(『ABEMA Prime』より)
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