4日の衆議院内閣委員会で、「“新しい資本主義”とは具体性は何なのかとみんなが注目していく中で、一つの柱としてWeb3.0を位置づけるということが極めて大事だ」と述べた平将明衆議院議員。
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これに山際経済再生担当大臣も「成長戦略の中にしっかりWeb3.0を盛り込んでいきたい」と答えたほか、木原誠二・内閣官房副長官もTwitterで「うん、分散型・非中央主権型で、個人がオーナーシップを持て、インクルーシブで強いものが独り占めできないWEB3.0は新しい資本主義が目指す姿・柱そのものです!」と応じている。
政府与党から相次ぐ「Web3.0」関連の発言。その狙いはどこにあるのだろうか。10日の『ABEMA Prime』では、初代デジタル担当大臣を務めた自民党の平井卓也衆議院議員に話を聞いた。
■日本からもプレイヤーが出てきたらいいなと思っている
そもそも「Web3.0」とは、どのようなものを想定しているのだろうか。平井議員は「はっきり言って定義はないし、皆がいろんなこと言うから何だか分からないということになっているのが実際のところではないか(笑)。一つ言えるのは、インターネットの使い方、あり方を変えたいという方々がたくさんいらっしゃるということだ」と話す。
「インターネット(WWW)には30年くらいの歴史があるが、2000年頃から今に至るWeb2.0の時代は、タダで便利だけど、情報については例えばGAFAなどのプラットフォーマーに預けちゃう、そして検索履歴に基づいた広告なども進んで、大きなお金が動くようになっていった。そこに対し、プラットフォーマーの呪縛から逃れたいという人たちがいる。特にデータを自分で管理できるようになったらいいなという思いが強く、そのあたりで大変な盛り上がりを見せているんだと思う。
もちろん、GAFAのような巨人がこのままいなくなるとは考えられない。しかし、メガプラットフォーマーの中で永久に生きていくということも考えづらい。この世界は何年か経てば必ずプレイヤーが変わっていくものなので、“もう一つの道”というものが徐々に広がっていくのではないかと思うし、日本からもプレイヤーが出てきたらいいなと私も思っている」。
■“政府がWeb3.0導入をする”というような話はミスリーディング
その上で平井議員は「“政府がWeb3.0導入をする”というような話はミスリーディングなところがある。そうではなく、インターネットの新しい使い方をみんなで考えようという時に、“デジタルフレンドリー”ではない日本の法律がスタートアップ企業や新しく仕事をしようとしている人たちの足を引っ張ってしまい、みんなが海外に行ってしまう理由にもなっている。それはまずい、という思いが、平さんや山際大臣とのやりとりからも伺えたということだ」と説明した。
「先ほども言った通り、みんなが色々なことを言っているが、Web3.0というものをはっきり見た人はまだこの世の中にいないと思う。しかし、インターネットを使うことが前提となった社会では、この先も色々なことが変わっていくということを覚悟しておかなければいけないし、新しいテクノロジーや考え方に対して関心を持ち、政策体系を作っていくべきだということだ。もっとチャレンジする国だったはずの日本のデジタル競争力が落ちるところまで落ちてしまった今、時代の変化に挑戦しようという若い人たちの邪魔をせず、気持ちに寄り添い、政策を考えていくことが重要だ」。
■ネットの歴史を振り返ると、ダイヤルQ2やエロ動画から広がっていった部分もある
そんなWeb3.0の時代に向けた法制度の一つに、税制改革があるのだという。
「例えば日本の場合、未確定利益、つまりお金が儲かっていない段階での課税があるために、新しいことを始めようとする人がきつい思いをする事がある。日本のスタートアップがなかなかうまくいかないのも、上場しようとする人たちが株式を売ることがほぼできないということがある。だからこそ、マザーズに上場するタイミングでEXITしようと、急いじゃうわけだ。その点、アメリカなどでは未上場の株式の売買のマーケットがあるし、ファンドなどがお金を出すこともできるし、創業者が株式を売却したときに課税率も低い。
暗号資産への課税も同様だ。今は金融資産ではなく雑所得になっているために税率が異なっているし、トークンを発行した時点の価値に課税される可能性がある。平さんが変えようとしているのも、そのあたりにあると思う。もちろん、ICO(Initial Coin Offering=新規の暗号資産の公開)をめぐっては詐欺まがいのこともたくさんあったし、今もNFT関連で怪しいものがいっぱいある。だけどインターネットの歴史を振り返ってみると、やっぱりダイヤルQ2やエロ動画から広がっていったところもあって、怪しいものが淘汰されて、リアルビジネスになっていった。今また同じようなことが起きているのではないかと私は考えている。
■地方にものすごいチャンスが出てくる。優秀な方々が日本で力を発揮できるようにしていきたい
他方、平井議員は、「みんなお金のことばっかり言っているが、そうじゃない」とも話す。
「トークンだって、リアルなお金に換えないトークンだって出せるわけだ。例えばラーメン店がサービス券の代わりにトークンを発行し、お客さんに経営に参加してもらうといったことも可能になる。ブロックチェーンの技術、お金の話ばかりではない。そういう議論を、まさに海外のみなさんともしている。例えばエストニアでは2008年頃からインターネット上で情報にアクセスした際にのこるログを消したり改ざんしたりできないよう管理をしていた。後に“これはブロックチェーンじゃないか”と言われるようになったわけだが、そういう技術は日本の情報管理においても非常に重要だ。
また、デジタルは地方に住んでいる人たちにとってもチャンスだと思う。例えばWeb3.0に関わるエンジニアの場合、はっきり言えばどこに住んでも仕事ができる。そのようにして働き方が変わっていけば、地方にものすごいチャンスが出てくる。確かにWeb3.0によって急に生活や何かが変わるということは無いかもしれないが、技術者を始め、優秀な方々が日本で力を発揮できるようにしていきたい」。(『ABEMA Prime』より)
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