将棋のALSOK杯王将戦の七番勝負第4局が2月12日に2日目を迎えた。1日目、藤井聡太竜王(王位、叡王、棋聖、19)が封じた72手目が午前9時ごろに開封され、渡辺明王将(名人、棋王、37)の手番で、対局が再開した。形勢は互角と見られ、持ち時間では渡辺王将が1時間以上リードしている。局面は1日目から早いテンポで進み、攻防も激しく、既に終盤戦といった雰囲気。2日目の午前中から一気に勝負の流れが決まりかねない状況だ。
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藤井竜王が四冠、渡辺王将が三冠と、将棋界の8タイトルのうち7つが集まる「頂上決戦」となった同シリーズだが、藤井竜王の勢いと充実ぶりが周囲の予想を上回り、第1局から破竹の3連勝。2日制のタイトル戦で高い勝率を誇っていた渡辺王将を圧倒し、早くも王将奪取に王手をかけている。一方、渡辺王将は2022年に入り5連敗と調子を落としたと見られた時期もあったが、棋王戦五番勝負の第1局では永瀬拓矢王座(29)に快勝してようやく新年初勝利。気分を一新して、本局に臨んでいる。
出だしは渡辺王将が矢倉、藤井竜王が雁木に構えると、周囲の棋士からは研究範囲内だと指摘が入るように、午前中からハイペースで指し手が進行。昼食休憩までに61手目まで進んだ。ただ、休憩明けの午後1時30分から封じ手となった午後6時までの4時間半では10手しか進まないほどペースダウン。局面が既に勝負を決する終盤に入っているだけに、ここからは両者時間をたっぷりかけてでも慎重に手を選ぶことになりそうだ。
渡辺王将には王将4連覇と節目となるタイトル30期がかかっているが、藤井竜王が奪取に成功した場合は、史上4人目となる五冠を達成。さらに、羽生善治九段(51)が持つ22歳10カ月を1年以上上回る19歳6カ月という最年少、史上初の10代で達成することになる。なお、過去の五冠達成者は故・大山康晴十五世名人(五冠独占)、中原誠十六世名人(74)、羽生九段と、全員が永世名人でもある。
持ち時間は各8時間の2日制で、先手は渡辺王将。
【封じ手時の残り持ち時間】
渡辺明王将 5時間7分(消費2時間53分) 藤井聡太竜王 3時間31分(消費4時間29分)
(写真提供:日本将棋連盟)