「言動が噛み合ってない」プーチン大統領の思惑は? 一転“対話ムード”に…再来年の選挙意識か
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 ロシアによるウクライナ侵攻への懸念が高まる中、14日、アメリカ国務省のプライス報道官は「これまで以上に、ウクライナ侵攻の可能性が高まっている」と懸念を示した。

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 一方で、ウクライナのゼレンスキー大統領は、北大西洋条約機構(NATO)加盟について、引き続き目指す方針を示唆。国境からわずか40キロのウクライナ東部の街・マリウポリでは、ロシアの侵攻に備えて子どもやお年寄りが銃の扱い方を学ぶ姿も見られた。

 専門家はこの状況をどのように見ているのだろうか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演した『現代ロシアの軍事戦略』の著者で軍事アナリストの小泉悠氏は「ロシアは実際の行動と言っていることが噛み合っていない」と指摘する。

「昨日(14日)の段階ではロシア政府は『まだ交渉の芽がある』といった対話する姿勢を全面的に出している。ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣も『全ロシア軍を導入した大演習だ』という言い方をしていて、なんとなくロシア政府が対話ムードを出し始めた。しかし、ロシア軍の野外展開は続いていて、実際の行動と言っていることが噛み合っていない」

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 ロイター通信によるとロシア国防省は15日、ウクライナとの国境付近での軍事演習を終えた軍の一部部隊が基地に帰還しつつあると発表した。これに対し、ウクライナのクレバ外相は「ロシア軍の撤収を目で確認するまで緊張緩和を確信しない」と慎重な姿勢を見せている。

 新型コロナ拡大の影響で約3年ロシアに行けていないという小泉氏だが「すでにロシアのメディア空間はすでに政府統制が効いてしまっている」という。

「今、実際にどのようなことが起きているのか、あまりロシア国民がわかっていない可能性もある。『ウクライナがNATOにそそのかされてロシアに危険を及ぼそうとしている』というストーリーを信じている国民が多いのではないか。そういう事情もあって、プーチン大統領がウクライナに武力行使を踏み切って、西側から制裁を加えられても『プーチン大統領のせいでこうなった』と考えるのか、『プーチン大統領が西側から守ってくれた』と思うのか。今のところは予想しがたい」

 国際的に中国政府の厳しい情報統制が知られているが、ロシアの情報統制はどれほどの威力を持っているのだろうか。小泉氏は「ロシアの情報統制は中国に比べたら全然緩い。北京五輪にプーさんのぬいぐるみは持ち込めないが、さすがにロシアではそういうことはない」と述べる。

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「ただ、前回のウクライナ危機以降、有事におけるグローバルインターネットの遮断は考えているだろう。昨年末、ごく短期間だが、ロシア国防省のサイトに海外のIPアドレスから繋がらなくなった時期があった。有事にはグローバルインターネットから切り離して、ロシアの統制が効いた情報しか見られないような、そんな緊急プランは考えているんじゃないか。だが、ロシア国民もばかじゃない。反体制派もいるし、プーチン大統領の欺瞞を見抜く人々がいる。2024年3月にはロシアで大統領選が行われ、プーチン大統領にとってこれから大事な時期になる。ウクライナを勢力圏に引き戻せれば、国民の支持を得られるかもしれないが、やり方を間違えれば国民から総スカン食らうリスクもある」

 現在、中国では北京五輪が開催されているが、プーチン大統領が中国の習近平国家主席に配慮している可能性はあるのだろうか。小泉氏は「非常によくある話だ」とした上で、「五輪だからという理由は疑わしい」と話す。

「ロシアが勝手に始める戦争に、習近平氏が『俺のメンツを潰された』と思うかどうかだ。また、習近平氏を怒らせることをどこまでプーチン大統領が気にするか。プーチン大統領が『別に構わない』と思う可能性もある。現に今、五輪開催中に圧力で煽っている。五輪が開催中だから、侵攻をやる・やらないという話ではないではない気がしている」

 AFP通信によるとウクライナのクレバ外相は15日、西側の同盟国と進めてきた外交努力により「ロシアの侵攻を回避できるようになった」と発表。しかし、国境沿いの緊張は依然高まったままであり「ロシアは残りの部隊を撤収させる必要がある」と改めて強調している。(『ABEMAヒルズ』より)

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