「すでに全面戦争に近い状態」 ロシアとウクライナ、専門家が語る停戦協議の行末
ロシア軍の攻撃が激化 キエフの現状(1日現在)
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 28日、ロシアによるウクライナへの侵攻後初めての停戦交渉が開かれた。

【映像】ロシア軍の攻撃が激化 首都キエフの現状(1日現在)

 ウクライナ側は今回の交渉で即時停戦と、クリミア半島や東部の親ロシア派が実効支配する地域を含めた、ウクライナ全土からのロシア軍の撤退を要求している。一方、ロシアのプーチン大統領はフランスのマクロン大統領と電話会談を行い、クリミア半島でのロシアの主権の承認やウクライナの非武装化・中立化が条件だと説明した。

 両国の主張は真っ向から対立している。

 そして交渉開始から5時間以上がたった、日本時間の午前1時すぎ停戦協議は合意に至らないまま終了した。双方の代表団は停戦協議を継続することで確認。一旦、キエフとモスクワに戻り、次回の交渉は近日中にポーランドとベラルーシの国境付近で行う予定だという。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、ウクライナ出身の国際政治学者のグレンコ・アンドリー氏に、ウクライナとロシアの今後について話を伺った。

■合意に至るには

「合意にたどり着くには、どちらかが大幅に譲歩しないといけない状況です。停戦協議は、これから何度か行われるのではないかと思いますが、妥協点は、戦況によると思います。つまり、戦場で有利になった軍がより自分の主張に近い妥協点にたどり着くということになります」

■今の情勢は

「全面戦争に近い状態にはすでになっていて、ロシアは国際法や国家主権などを構わず破っているので、結局力で食い止めるしかないです。逆に食い止めることができなければ、理不尽な要求をある程度飲むしかないということになります」

「ウクライナとしては、少なくとも主権と独立を保障されるような内容ではないと合意にたどり着けないです。ロシアは、ウクライナがこれだけで退かないのは、わかっているのでこれからさらに軍事力を投入してウクライナの大都市を制圧するか、もしくは包囲するかなどで、ウクライナ代表を屈服させるくらいの力を見せることを狙うのではないかと思います。そうした結果、戦争が激化する可能性は非常に高いと思います」

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■停戦協議の最中、ウクライナ大統領がEU即時加盟要請したことについて

「この状況で非常に正しい判断だと思います。申請したところですぐ受け入れられるわけではないですが、少なくともEU加盟手続きを加速すれば、EUとウクライナの連帯感に貢献して、直接の軍事力以外の方法でウクライナを全力サポートする。ウクライナはEUの仲間なんだという認識が高まることにつながると思います。なのでウクライナはいま多くの支援を必要としているので、加盟すればEUからの支援も加速するだろうと思われます」

「ロシアの要求を飲めば、ウクライナは独立を失います。ロシアが嫌がっても独立を守ってEU諸国等から支援を受ける手段をここで拡大しないと本当に敗北するので、そこはロシアが嫌がってもやらなければならないことだと思います」

■ロシアは世界中を敵に回してもウクライナがほしい?

「ほしいですね。プーチン大統領は、自分の考え方として旧ソ連をもう一回支配したい思
いを持っている。ソ連崩壊は、20世紀の地政学の大惨事とはっきり言っていますが、それと同時に、彼自身はウクライナ民族とロシア民族は一つの民族だと言っています。方便ではなくて本当にそう思っている。彼の認識では同じ民族だから、同じ国にいるべきだと彼は強く思っています」

「彼らが今やっていることは、彼ら自身からすると正義ということになる。実際、それはとんでもない侵略行為であって国際法違反ですが、彼らの中では正義の回復ということになるのです。どんなに苦労しようと、正しいことをやっていると思っていて、やり遂げたい願望に駆られているのです。なかなか退かないでしょう

 再協議は、近日中にポーランドとの国境に近いベラルーシ国内で行われる予定だ。(『ABEMAヒルズ』より)

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