専門家「“第2のバビ・ヤール”を感じた」ホロコースト悲劇の地をロシアが侵攻 攻撃に隠された意味
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 現在、戦争状態といっても過言ではない、ロシアとウクライナの関係。ウクライナは、ロシアの侵攻により多くの被害を受け、場所によってはミサイルや空爆が投下される戦地になっている。

【映像】バビ・ヤール爆撃の瞬間

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、本来のウクライナをよく知る、神戸学院大学教授でウクライナ研究の第一人者である岡部芳彦氏に話を伺った。

 1日、ウクライナ・キエフ市内のバビ・ヤールという地域にあるテレビ塔をロシア軍が攻撃。主な目的は、通信の寸断だと推測されているが、岡部氏は、他にも深い意味があると話す。

「テレビ塔があるのは、バビ・ヤールという地域。この地域は第2次世界大戦が始まって、一番最初にナチス(ドイツ)がユダヤ人を大量虐殺した場所となっています。アウシュヴィッツよりも前で、2日間に3万人以上、ユダヤ人が銃殺された悲劇の場所です。ユダヤ人のことを映画化するときは、必ずこの地域も描かれます。そのような場所を攻撃したことは“第2のバビ・ヤール”と感じました」

 1回目の停戦協議では、合意出来なかったロシアとウクライナ。その後、ロシアの侵攻は激しさを増している。このまま侵攻が激しくなると核戦力などによる“最悪のシナリオ”も……。それらを防ぐためには、岡部氏はロシアの軍事行動を止める必要があると話す。

「圧力に屈するか押されるかで、ロシアの軍事行動が何らかの形で止まることが一番だと思っています。停戦協議で無理な要求を出して相手が拒んだら『拒まれました』と発表するというのがロシアのやり方です。なので、休戦協議の双方合意は見通せないと思っています」

 岡部氏によると、現在ロシア国内では「ウクライナと戦争している」という報道は一切なく、全ての軍事行動は「東ウクライナのジェノサイドを止めるためだ」と報道されているという。

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 ただ、ロシア国民でも、若者をはじめとしたインターネットに接続可能な機器を持っている一部の人々は、真実を知っているという。しかし、その機器を利用していない高齢者との間に「認識の差が生まれている」と岡部氏は語る。

「高齢者などインターネットに疎い人は、テレビなどの報道でしか知ることができないため、真実を知らないので、政府の発表を鵜呑みにして『ロシアはいじめられている』という認識になってしまいます」

 ロシア国内で起きている反戦デモは若者によるもので、現状、高齢者は参加していないという。ただ「今のままだとプーチン大統領を止めるほどの力にはならない」と岡部氏は述べる。

「すごく大きなうねりになりつつあるのですが、正しい情報を知っているのは、若者ばかりです。もちろん、高齢者も正確な情報を見ると我々と同じ感覚を持ち、反戦デモになるとは思いますが、ただ、高齢者はまったくそういう意識を持っていないので、デモに参加することもなく『若者が勘違いしてデモしている』というふうな考えになってしまいます。この人たちが参加すれば、プーチン政権もいよいよ危ういと思います」

 若者から高齢者へ伝えるというのは難しいと語る岡部氏。その背景には、経験した時代が大きく関係していると岡部氏は推測する。

「まず、今の若い子はソ連を知らない。そしてプーチン政権下で少なくとも経済政策が多かったので、良くなったロシアで過ごしています。高齢者はソ連崩壊やソ連が大国だった時代を経験していて、ソ連崩壊直後は大混乱状態になっていた。高齢者は『それを繰り返したくない、だからプーチンなんだ』と思っているのではないかと。そうなるとこれを解きほぐすのは、なかなか難しいと感じています」

 ロシアの異変を感じ取った国民が、内側から抑止するのも難しいとなると、国外からの圧力や、ウクライナへの支援も必要となっていくだろう。(『ABEMAヒルズ』より)

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