先月24日、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以来、緊迫した状況が続いている。“情報戦”というキーワードが様々なメディアで取り上げられるようになっていること、さらにその中で真偽不明なフェイクニュースがネット上を駆け巡っている現状などについて、ジャーナリストの青山和弘氏が言及。「昔から使われる情報戦の一種」と客観的かつ冷静な見方を示す一方、3・11の東日本大震災の際にある在京新聞社が行った行為について「報道機関として絶対にやってはいけないこと」と憤る場面があった。
青山氏は「湾岸戦争のとき、油にまみれた水鳥がでてきた。当時のフセイン大統領の環境テロだということで西側諸国が彼の悪いイメージをつけることに役立った。しかし実は、アメリカの爆撃によってオイルが流出して水鳥にオイルが付着したというフェイクニュースだった」と代表的な一例を挙げつつ、従来の手法であることを説明。
そのうえで青山氏は「今回は何百倍、何千倍という情報の洪水が起こっている。その中にフェイクもあるが、真実もあり、大きな戦況にも影響を与える。湾岸戦争のときもそうだったが、現在は市民レベルで起こっているという印象だ」と続けた。
ロシアによるウクライナ侵攻を受けて流された多くのフェイクニュース。具体的には「ライブ中継中に死体が動いた」というものがあり、これは気候変動関連のパフォーマンス動画であることが後に判明。パイプラインの爆発画像については、8年前の画像が使用されていた。こうして情報戦の過程で真偽を判断することが難しい情報、映像や画像などがネット上に氾濫している。
真偽不明の最たる例として「プーチン重病説」があるが、そのことについて国際政治学者の舛添氏は「今の合成技術とか違ったレベルで、全く根拠がわからない。お医者さんが診察したレベルで血液調べてどうだとかいうのであればいいが、顔を見ただけで変だというのは、そういうことを言っても話にならない。そういう説を流すことがアメリカ側に有利なのかどうなのかということも含め、どこからくる情報かも一度は疑ってみないといけない。歴史的背景ももう少し知っておく必要がある。自分が知っている限り、プーチンさんの顔を見て病気だとは今は思わない」と一連の報道について懐疑的な見解を示した。
SNS上に氾濫するフェイクニュースについて、改めて意見を問われた千原ジュニアは「SNSに限らず、昔からあること」としたうえで「東日本大震災の被災者の方にお話を伺いに行った。向こうは色々な食材を冷凍して蓄えておくそうだが、(震災後)3月12日、13日、14日、15日は電気が止まっている。食べないといけないということで、食卓がカニだウニだアワビだとすごいことになっていた。食べなければいけないので。そこに東京の新聞社が来て『これどかしてもらっていいですか』と言われ、カップラーメンを渡されて『これを食べてください』と言われた。子どもは普段食べられないから喜んで食べていたら『笑うのやめて。悲しそうに食べて』と写真を撮って、それが新聞に載っけられたのを、我々は見ていた」と自身が現地で聞いたエピソードを当時の驚きを交えながら明かした。
この話に青山氏が「それは報道機関としてやってはいけない。絶対にやってはいけないこと」と憤りを露わにすると、千原ジュニアは「国内、これだけ近いところでもそういったことがある。何が本当で何が嘘かを見分けるのは非常に難しい」と述べた。(ABEMA『ABEMA的ニュースショー』)
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