1960年代に出版され、どちらも販売部数300万部を超えるなど多くの子どもたちに親しまれてきた絵本『てぶくろ』と『おおきなかぶ』。「ウクライナ民話」と「ロシアの昔話」ということに加え、平和を考えさせる内容であることから、いま話題を呼んでいる。
ウクライナ民話の『てぶくろ』は、森に落ちていた「てぶくろ」の中でさまざまな動物が仲良く過ごす話。一方、ロシアの昔話『おおきなかぶ』は、おじいさんが植えたかぶを家族や動物と力をあわせて引き抜こうとする物語。どちらの作品も「助け合い」や「共生」を描いている。
本の読者からは「どちらも息子の好きな絵本。譲り合い、助け合う……生きていく上で大切なことを教えてくれる」「『てぶくろ』みたいにみんな仲良くできたらいいのにね」といった声がネット上に寄せられている。
ウクライナ侵攻を受け、都内の書店ではこれらの絵本を紹介。「平和について考えてほしい」と呼びかけている。
絵本や児童書専門の書店「クレヨンハウス」では、創業当時から設けている「絵本と一緒に平和を考える」というコーナーに2冊を加えた。
「普段は民話・昔話のコーナーに置いているが、今回のことを受けて改めて読み直してみたときに、絵本から『平和』や『共存』というメッセージを読み取れたので(「絵本と一緒に平和を考える」コーナーに)置いた」(クレヨンハウス 子どもの本事業部・伊藤保奈さん)
本を手に取る人や売り場に立ち止まる人も増え、ウクライナ侵攻が始まる前と比べて『てぶくろ』は40倍売れているという。
「保育園で子どもが劇をしたり寝る前に読み聞かせをした本なので、なじみはある。この機会にもう一度、一緒に読んで(平和について)考えていきたい」(来店した人)
さらに、本の隣には「クレヨンハウス」独自の平和を訴えるメッセージとして「平和の日々の中で、ひとりひとりの子どもがたのしく絵本を開く明日のために」といったPOPが掲示されている。
ウクライナの子どもも、ロシアの子どもも、そして日本の子どもたちも「安心して絵本を読める世界になってほしい」と伊藤さんは話す。
「世界中の絵本が日本語に翻訳されて読めるし、逆に日本の絵本も世界中で翻訳出版されている。『同じ絵本を世界のどこの国でも楽しむ子どもたちがいる社会』というのが『平和』だと思う。国境を越えて、同じ絵本を誰もが楽しめる世界になるといいなと願っている」
今回のニュースを受けて、『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでBuzzFeed Japan編集長の神庭亮介氏は「『てぶくろ』は動物たちが手袋の中で仲良く過ごす、平和なお話。プーチンさんにこそ、ぜひ読んでいただきたい。この機会に改めてウクライナの絵本に注目するのもいいのでは」とコメント。
また、書店の取り組みについても「戦争が起きているからといってロシアの文化や小説、絵画などが全否定されるわけではない。こうやって(書店に絵本を)並べて、両方読んで平和を考えてもらうのはいいことだ」と賛同している。(『ABEMAヒルズ』より)
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