2日、自身のグループの勉強会で「わが日本国こそ、今回のロシアの暴挙に対して一番強い非難をしなければならない」と訴えかけたのが、自民党の石破茂元幹事長だ。
8日の『ABEMA Prime』に出演した石破氏は「日ソ中立条約(1941年)があったが、それを一方的に破棄して満州・樺太に攻め込んできて(1845年8月9日)、大勢の人が死んだ。しかも“日本はポツダム宣言を受け入れる、武装解除する”と昭和天皇がおっしゃったにもかかわらず、やめなかった。日本へ帰る人々を乗せた3隻の船を沈めてしまった(8月22日の三船殉難事件)し、日本軍の捕虜ら57万5000人をシベリアに抑留し、うち5万7000人は死んでしまった。戦争が終わって77年が経っていて、私も含め、当時を知っている人はほとんどいなくなってしまった。しかしもう一回、きちんと思い出さないか」と訴える。
日本政府もウクライナ侵攻の開始後、安倍内閣では「主権を有する島々」と表現、刺激のある「我が国固有の領土」という言い方を控えてきた北方領土について「我が国固有の領土」という表現を用いるようになっている。
石破氏は「当たり前の話だ。前は“ロシアに不法占拠されている我が国固有の領土”と言っていた。“あれはソ連であって、ロシアは関係ない”と言う人もいるが、ロシアは憲法改正をして、“ソビエトの法的継承国である”と書いた。関係ないなんて言わせない。プーチン大統領は“ヤルタ協定でロシアのものになった、あれは秘密協定だ”と言っているが、当事者のアメリカは“あんなものは無効だ”と言っている。さらに“サンフランシスコ平和条約でロシアのものになった”とも言っているが、そもそもロシアは参加していない。“敵国条項があるから取っていい”、そんな理屈は成り立たない。領土を少しでも譲ったら、国家は国家でなくなる。それが国際社会の常識だ。“2島(返還)でいい”とか、そんなことを言ったら国全体がなくなってしまう」と語気を強めた。
森元総理や安倍元総理ら、いわゆる“ロシア通”を派遣、交渉してはどうかという案が出ている。
石破氏は「安倍総理として一生懸命努力をされたことは事実としてある。くどいようだが、ロシアは憲法を改正し、領土は絶対に譲らないとしているし、少しでも領土を譲ったら、国家が国家でなくなるのが世界の常識だ。話し合いの結果、当面は2島だが、最終的には4島という交渉が進んでいくとすれば立派なことだが、結果としては全く進まなかったし、今回のことでさらに困難になったと思う。それは事実として認めないといけない。領土で妥協ということはあり得ない。
そして森喜朗先生にしても、安倍晋三先生にしても、今までロシアとのいろいろな関係もあり、一国の総理まで務めた方だ。やってみないと分からない、行ったけどダメだったみたいな話では仕方ないし、何の国益にもならない。交渉するのであれば、どういう条件なのか。“ウクライナに対する武力攻撃をやめろ、以上”ではどうにもならない。“落としどころ”という言葉は好きではないが、ロシアの顔を全面的に潰すという話にもならず、でも武力攻撃は止めないといけないわけだが、NATOがこれ以上拡大しない、あるいはロシアに隣接したところにはミサイルを置かないといった提案をする力を日本政府は持たない。ロシア通の方々に行っていただいても、成果を得られるのはなかなか期待しにくいところはある」との見方を示した。(『ABEMA Prime』より)
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