中国が“侵攻”なら嘉手納や横須賀は攻撃対象、与那国島も戦域に?台湾在住ジャーナリスト「日本にいると平和ボケ”を感じる」
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 今月に入り、ポンペオ前国務長官、元米軍制服組トップのマレン元米統合参謀本部議長と、相次いでアメリカの要人と会談を行っている台湾の蔡英文総統。ロシアによるウクライナへの軍事侵攻についても、「台湾はウクライナ、そして自由と民主主義の味方だ」「民主的なパートナーと共にロシア制裁に参加している」と発言している。

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 一方、中国外務省の副報道局長は「中国が国の主権や領土を守る決意と意志は揺らぐことはなく、アメリカが誰を派遣し、台湾への支持を示しても無駄だ」とコメント。王毅外相も「台湾は最終的に祖国に戻る」と強調している。

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 日本人の祖母を持ち、台湾のテレビ局のコメンテーターも務めるフリージャーナリストのジョエル・フクザワ氏は「昨年行われた世論調査では、大体7割くらいの方が、自分の国は自分の力で守らなければいけないと答えている。皆さんもご存知の通り、台湾の方は国連などの組織も入れないが、今のところは“現状維持”が一番大事だ。それでも“今日のウクライナは明日の台湾”という言い方もされるようになっているし、やはりウクライナのことを教訓として、自分の国は自分の力で守らなくてはならないという意識は高まっていると思う」と話す。

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 「日本でも“政冷経熱”と言うように、グローバル化の中で中国との関係があることはどうしようもない。ただ、民主主義が大切だということは忘れてはならないと思う。お金と命のどちらが重いか問われたとき、日本の皆さんも自分で判断しないといけないし。台湾有事は日本の有事だと意識しないといけないと思う。しかし10年くらい日本にいて感じるのは、申し訳ないが特に若者が“平和ボケ”していると感じる。確かにアメリカ軍がいるけれども、自分はどう思うのか、そういう意識が高まらないといけないと思う」。

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 慶応義塾大学総合政策学部の神保謙教授(国際政治学)は「もしロシアが作戦を成功させ、クリミアを併合した時のようにウクライナ全土を数日間で併合してしまうというシナリオが成立していたら、中国も“こういうシナリオがあるのか”と思い、台湾にとっても脅威になると思う。しかし今回はウクライナ国軍も国民も一体となって予想以上に抵抗したため、ロシアは計画通りに進むことができなくなった。このこともまた、中国の指導部には刻まれたはずだ。フクザワさんがおっしゃった通り、台湾は自分のことは自分で守るということがどれほど大切なのかを学び、それがまたアメリカの介入を確実なものにするという発想で捉えているのではないか」と話す。

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 「アメリカと台湾の間には、いわゆる条約に基づいた防衛義務があるわけではなくて、1979年に制定された台湾関係法というアメリカの国内法に基づいて大統領が台湾に対する防衛を決断するということになっている。これには戦略的曖昧性といって、アメリカが確実に台湾を守るということをあえて明らかにしないことで、もし侵攻すればおそらくアメリカは介入するんだろうな、という計算を中国の戦略の中に働かせる効果がある。

 ところが、まさかロシアがウクライナに侵攻することはないだろうと思っていたら、本当に侵攻してしまった。やはり懸念は高まるし、アメリカとしても今よりも明瞭な形で台湾を防衛するという形を作った方がいいのではないか、という議論が出てくる。例えばポンペオ元国務長官やマレン元統合参謀本部議長は、そのような考えを政治的に持っている。一方で、アメリカは台湾有事のための準備も進めていて、中国軍とどう戦うのかといったシナリオも、インド太平洋軍の作戦計画の中には入っている。その意味では、ウクライナよりもはるかに備えはされていると思う。ただウクライナの場合、隣国のポーランドなどに市民が避難しているが、台湾の場合は海に囲まれているので逃げ場がない。民間人を守るための退避についても、本気で考えないといけないと思う。」

 そうなれば、日本も無関係ではいられないという。
 

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 「ウクライナは地続きなので航空も大事だが、基本的には陸軍を入れていくことになる。しかし台湾を侵攻する時には、海からの揚陸作戦を実施することになる。その際に上空から攻撃されないよう制空権を取らなければ海を渡れないので、当然、米軍を介入させないためにも台湾の東側を制圧することが重要になる。そうなると、まず叩くのは沖縄の嘉手納基地、そして横須賀海軍施設を機能不全にさせることを考えるだろう。また、与那国島(沖縄県)と台湾は110kmしか離れていないので、当然、戦域の中に入ることになる。つまり中国が台湾を侵攻する時には、日本も防衛ということを考える事態になるのは間違いない」(神保教授)。

 こうしたこともあってか、台湾国防部は侵攻が始まった直後、陸海空軍の演習風景の動画を公開。そこには「永遠に最善の準備をする」とのテロップが。

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 神保氏は「昔は相互依存、つまりお互いに経済的なダメージを受けるおそれがあれば戦争なんてやっている場合ではないと考えるはずだと思われていたが、習近平主席は昨年、“相互依存というのは自分に依存させて相手にダメージを与えるための反撃力のツールなんだ”ということを言っている。つまり“これを切ったら、お前どうなるか分かっているだろうな”と。オーストラリアがワイン、フィリピンがバナナでやっていることではあるが、これがレアアースや半導体になってくると、やはり武器になってしまう。その意味では、台湾を世界の経済システムの中にもっとしっかり入れていくのはもちろん、台湾がTPPに本気だということを日本もしっかりと受け止めて対応していくべきだ」と指摘。

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 フクザワ氏は「もし中国が侵攻を始めた場合、アメリカや日本はどんな理由で台湾を助けるのだろうか。今はアメリカも日本も、台湾を国とは認めていないので、国交もない。しかし半導体は台湾の生命線だし、これがなくなったら世界的にも大変なことになると思う。台湾政府が昨年9月にTPPに入ろうとしたのも、そういう背景がある。経済同盟、経済安全保障で、一緒に戦ってほしいという意味があると思う」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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