「国民の恐怖を煽ってヒーローに」プーチン氏の狙いは? 第2次チェチェン紛争の成功体験
【映像】LGBTへの迫害が続くチェチェン共和国 拘束されるゲイも(1:40ごろ〜)
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 ロシア軍のウクライナ侵攻から約2週間が経ったが、攻撃は激化の一途をたどっている。6日、今回の侵攻について、イギリス国防省は「ロシアは1999年にチェチェンで、2016年にシリアで同様の戦術を取った」と発表。第2次チェチェン紛争と状況が似ていると指摘した。

【映像】ロシア軍に激しく抵抗するチェチェンの兵士たち(当時の様子)※0:54ごろ〜

 1999年に撮影されたチェチェン共和国の首都・グロズヌイの映像を見てみる。映像には、破壊された市内に残り、ロシア軍に抵抗する兵士と市民の様子が映っている。

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 当時、チェチェン共和国の独立をめぐり、独立阻止のために侵攻してきたロシア軍。ロシア軍は人道回廊を設置したものの、都市を無差別に攻撃し、市民に多数の犠牲を強いて降伏させる戦術を取った。その後、ロシアは親ロシア政権をチェチェン共和国に樹立させた。

 第2次チェチェン紛争と今回のウクライナ侵攻、一体どのような類似点があるのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、当時現地を取材したジャーナリスト・常岡浩介氏と共にウクライナ侵攻の今後の展開を考えた。

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 両戦争の類似点について、常岡氏は「戦争の始まり方」に言及。「ウクライナはロシアとヨーロッパ、どちらの同盟につくのか、国論も二分していた。チェチェンもほとんど同じ状況だ。ソ連が崩壊したタイミングで、国内で『ロシア連邦に残留したい勢力』と『独立したい勢力』があった。独立派が優勢になって94年に第1次紛争が起こり、ここでは独立派が勝った。第2次のタイミングで、モスクワで連続爆破事件があり、ロシアは『テロの背後に独立派の大統領マスハドフがいる』と言って翌日に攻め込んできた。今回のウクライナでは『東部で独立紛争が起こっていて、そこで虐殺が起こっている。親ロシア派の住民を助ける』という名目で攻め込んできた。何らかの理由を使って攻め込んでいるが、親ロシア派の地域で虐殺が起こっているという実態はない。デマだ」と述べた。

 さらに、常岡氏によると、当時モスクワで起こった連続爆破事件は「ロシアの諜報機関FSBによる偽旗作戦の疑いが濃厚だ」という。「リトビネンコというFSB諜報機関の中佐、のちに毒殺されたが、この人が暴露している」と明かした。

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 ひろゆき氏も「ロシアは(第2次チェチェン紛争とウクライナ侵攻で)まったく同じ作戦をとっている。同じことをやって、同じ結果になりつつある話だ」と同意。「チェチェンも人口100万人くらいの共和国だが、一説によると(第2次チェチェン紛争で)20万人以上が亡くなっていて、国民の5分の1が殺されている。同じようなことがすでにウクライナのマウリポリでも起きて、病院が爆撃されたり、普通に住宅街が爆撃されたりと、映像で出ている。まったく同じ作戦をやっているようにしか見えない」と指摘した。

 第2次チェチェン紛争時、指揮をとっていたのが当時のプーチン首相だ。プーチン氏は翌2000年に大統領になったが、紛争時の功績が大統領につながったと考えていいのだろうか。常岡氏は「プーチン氏は国民の恐怖を煽ってその恐怖を解決する、ヒーローのような指導者という自分をプロデュースすることに成功した」と見解を述べる。

「プーチン氏はまず首相代行になり、首相、大統領代行になって、その後大統領になった。首相代行という形で世間に出てきたときには支持率が2%、最大でも5%しかなかったと言われている。その状況で、いたるところでチェチェンのテロと称するものが何度も起こり、ロシアの市民がチェチェンのテロに対する恐怖心に囚われた。それをうまく利用したというよりも、それ自体が偽旗作戦だったと思う」

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 ここで、ひろゆき氏は常岡氏に「チェチェンも民衆はずっと対抗し続けた。結果、多くの人が亡くなる事態になって、親ロシア政権を立てることで戦争をやめた。ウクライナも4000万人にうち1000万人くらい亡くなったら、さすがにもう音を上げると思うが、本当にロシアはそこまでやるのだろうか」と質問。

 常岡氏は「4000万人と100万人では攻撃の規模が違う」とした上で、「第2次チェチェン紛争並みにウクライナが戦う可能性は高い」と答える。

「1000万人死ぬことはないにしても、ウクライナもチェチェンも我々が知っている戦争の前から400年間、ずっとゲリラ戦が50年ごとに続いている。ウクライナも第2次世界大戦では最大の人的被害、何百万人が殺された。あるいはスターリンの飢餓作戦と言われてる『ホロドモール』によって、餓死させられた経験もある。大戦の中、スターリンに抵抗してゲリラ戦をやり、ヒトラーが占領したら今度はヒトラーに対してゲリラ戦をやり、ものすごい犠牲を出した。それでも抵抗をし続けた。今のウクライナのお年寄りはそれをやっていた人たちだ。まったくその記憶が過去のものになっていない。今回たくさん殺されたら諦めるのかというと、少なくともチェチェン並みに戦う可能性は高いと思う」

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 多数の犠牲者が出る前に、戦争をやめることはできないのだろうか。常岡氏は「チェチェンの人たちと話していると、昔の日本軍みたいな感じがある」という。「やたら『これは美しいでしょ』という言い方を挟む。美学を優先して、自分たちが死ぬ前提の話ばかりする。『死んだら君たちは負けるじゃないか』というが、『我々が死んでも子どもが戦うから』という言い方をする。実際400年、何度もロシアあるいは昔のペルシア帝国、トルコとも争っているが、勝てていない」と指摘した。

 また、今回のウクライナ侵攻における人道回廊が「本当に人道的なのか」という質問について、常岡氏は「本当にそう思う」と同意。

「第2次チェチェン紛争では包囲された後、投降したチェチェンの独立派はだいたい投獄され、数年のうちに獄中で拷問などで不審死した。あとは脱出した人たちがどこに脱出するかで、例えばジョージアに脱出した人で、ジョージアからロシアに引き渡された人もいた。引き渡された人は、その後死んだ。ヨーロッパもチェチェン人を引き渡すかどうかかなり揉めて、結局はほとんど引き渡してないようだが、捕まったら投降していても、武器を捨てていても、いずれは暗殺という形で死んでいくとみんな知っている」

 今回のウクライナ侵攻で再び注目を集めている第2次チェチェン紛争。歴史的な経緯を学ぶことで、見えてくるものがあるかもしれない。(『ABEMA Prime』)

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