今や押しも押されもせぬ将棋界の顔、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)が、大活躍の超早指し戦でも新たな挑戦を試みる。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」で、藤井竜王は2大会連続のリーダー棋士を務める。個人戦だった第1回、第2回、さらに団体戦となった第3回、第4回と全て優勝。今回は個人・団体5連覇を狙う。ファン最大の関心事は、どんなパートナーをドラフトで指名するかだが、会議直前のインタビューでは「今回は上の世代の方を指名させていただければと思っています」という仰天発言が飛び出した。
第4回はリーダーとして同学年の伊藤匠五段(19)、後に“お兄ちゃん”役となった高見泰地七段(28)を指名し、またしても優勝を果たした。昨年からドラフト会議に出席するようになったが「すごくいいチームで戦うことができ、結果も出すことができました。振り返ってみても、非常にうまくいきました」と大満足だった。高見七段のトークで笑い、伊藤五段とはさほど口数はなくとも、一緒に将棋を見ているだけでも楽しい。大会後に行ったという祝勝会も、さぞ楽しかったことだろう。
持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算というフィッシャールールで最も経験がある棋士でもあるが、一番のポイントに挙げるのがタイムマネジメント。長時間の公式戦でも度々話題となるが「時間がなくなってしまうとすごく大変」で、いかに終盤に自分に必要な時間を残せておけるかが、勝敗の分かれ目になるという。
そして今回のドラフト会議。昨年、平均年齢でもっとも若いチームを作り上げたが、ドラフト直前に「正直、これから考えようと思っているんですけど(笑)」とはにかんだ後、「今回は上の世代の方を」と語り出した。「これまでのABEMAトーナメントを見ていると、上の世代の方は鍛えが違うというか、早指しにおいてもすごく局面の急所を見抜かれる。そういった方と一緒のチームで戦えたらと思っています」と、構想を明かした。「このルールだと深く読むのは難しいので、そんなに深く読まずとも局面の急所を捉えられるのは、経験の力が大きいのかなと感じました」と、自然と指が好手を生むような域にいるベテランを目の前で見たいのだという。
まさかの発言で、一気に様相がわからなくなったドラフト会議。「どんなチームになるかわかっていませんが、今年もチームの方と力を合わせて優勝を目指せればと思っています。このルールならではの戦い方を意識して戦いたいです」と、頂点への意識は強い。イメージ通りのチームが組めた時、また新たな藤井竜王の一面が見られるはずだ。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)