将棋に対して超ストイックなタイトルホルダーが、ドラフト指名前に小ネタを入れてきた。プロ将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」で、永瀬拓矢王座(29)は今大会もリーダー棋士として参戦、ドラフト会議で2人を指名する。会議直前に候補者について聞かれると「名前を出さなければいいんですよね。筋肉の方と新婚の方で行こうかと」と、笑いながら答えた。将棋ファンならピンとくるヒントを出し、早くも永瀬王座本人がこの大会を楽しみ始めている。
初の団体戦となった第3回大会では、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)、増田康宏六段(24)と組み、優勝候補の筆頭に挙げられると、そのとおりに優勝。決勝ではストレート勝ちを収める圧巻の強さだった。第4回大会では、リーダーになったことで抜けた藤井竜王にかわり、屋敷伸之九段(50)が参入。絶対的エースが抜けてもベスト4入りを果たすと、永瀬王座の父が経営するラーメン店のPRにも成功し「さすがに売上は上がっているんじゃないかと。とても感謝しています」と目尻を下げた。
永瀬王座本人は、あまり早指しが得意という印象を持っていなかったが、フィッシャールールでは結果が出ている。「割と勝てているので、適性があるのかなと。やっているとつらいですが、見ていると楽しい、とてもおもしろいルールですね」と、回を追うごとに持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算という独特なルールを楽しむコツのようなものもわかってきた。
大会の目玉の一つはドラフト会議。ここでも十分に楽しむつもりだ。指名候補者を聞かれると「筋肉の方と新婚の方で行こうかと。筋肉は2人いるので、ははは(笑)。最近、新参加の筋肉もいるので、自分がパッと思いつくのは3人ですかね。新婚は、最近少ないですが」。筋肉は、将棋界で流行の兆しがあると言われる筋トレを趣味としている棋士のこと。また、新婚は字面の通りだが、どこまでの期間を新婚と呼ぶかは不明だ。
重複はしない自信がある。「取れなかったら頭を抱えますね。1巡目のBプランはないですね」と語るほどで、アレンジが入るのは2巡目以降か。「始まってみると、全く違う方を指名するかもしれませんが、前回はベスト4でしたので、とても悔しい思いをしました。決勝に行くのはすごく大変なんですが、第1目標は本戦進出、それができたら決勝を目指します」と、目指すところは高い。筋肉パワーと新婚パワー。予定通りに組み合わせることができるか。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)