山口恵梨子女流二段、ドラフト指名の注目点は2巡目「チーム3番手の気持ちがすごくわかる」/将棋・ABEMAトーナメント
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 将棋ファン待望の季節が、もうまもなくやってくる。早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」が4月2日にドラフト会議が放送され、そこから毎週、激戦の模様が放送となる。個人戦だった第1回大会から個人・団体4連覇を達成している藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)を筆頭に、トップ棋士から豪腕のベテラン、勢いのある若手などが集結するビッグイベントだ。第4回と第5回の間に行われた女流棋士の団体戦「第2回女流ABEMAトーナメント」に出場した山口恵梨子女流二段(30)は、この経験から、ドラフトでは2巡目に指名される棋士に着目。「チーム3番手の気持ちがすごくわかる」と語り、指名予想にも挑戦した。

【動画】ドラフト構想を語る佐藤康光九段

 山口女流二段は「女流ABEMAトーナメント」で、西山朋佳女流二冠(26)から2巡目で指名を受けてチーム入り。1巡目の上田初美女流四段(33)との3人で、準優勝という好成績を収めた。山口女流二段による勝って涙、負けて涙、応援して涙というシーンは、男性大会にも勝るようなインパクトを残した。団体戦経験者としては「チーム3番手」というポジションになる棋士の心境が、とても気になる。

 山口女流二段 女流ABEMAトーナメントに出させてもらってから、チームの3番手の方にめちゃくちゃ注目するようになりましたね。「3番手の思いってこんな感じか」と。たぶんメンバー全員、思いが違うんですよ。たとえば3番手の人なら、自分が一番弱いから、足を引っ張っちゃいけないと思うし、2番手の人なら自分がエースだからしっかり勝たなきゃいけないと考える。リーダーはリーダーで、自分が作り上げたチームだから、構想がうまくいくかと、三者三様のプレッシャーがありますね。

 目の前の一局に全力を尽くすことには違いないが、勝ち方・負け方で、次に出てくる棋士の心境はまるで違う。これが団体戦ならではの醍醐味だ。仮に3番手と見られた棋士が、相手のリーダーを討ち取る金星でも挙げようものなら、流れは一気に傾いてくる。

 山口女流二段 私は弱いけど全然緊張しないタイプ、とか思っていたんですけど、本番は全然違いましたね(笑)。めちゃくちゃ緊張しました。だから今回の大会も、チームの1試合目の第1局に出る人は、絶対に大会やルールに慣れている人がいいと思います。経験がない人だと、自分の将棋が指しにくいと思いますよ。

山口恵梨子女流二段、ドラフト指名の注目点は2巡目「チーム3番手の気持ちがすごくわかる」/将棋・ABEMAトーナメント
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 さて、今回の第5回大会は、各チームどんな布で臨んでくるか。山口女流二段は、日本将棋連盟会長・佐藤康光九段(52)の指名を予想した。

 山口女流二段 第3回、第4回と同じ(森内俊之九段、谷川浩司九段)だったので、さすがに今回は変えると思うんですよね。1人だけ変えるというのも、やりづらいと思うので、全とっかえだと思います。前回までがレジェンドだったので、今回は若手なんじゃないでしょうか。康光先生は優しいお人柄でもあるので、指名された若手も、康光先生の将棋を近くで学べる機会と思うんじゃないでしょうか。

 若手の中から、どんなテーマで選ぶか。着目したのは趣味だ。

 山口女流二段 康光先生はチェスやゴルフがお好きです。そういうので選ぶんじゃないですかね。チェスだったら、青嶋未来先生(六段)がお強いですよね。あとゴルフで言うと、中村太地先生(七段)が、将棋連盟のゴルフ部に参加したことがあると聞きました。

 中村七段、青嶋六段ともに、大会経験者で実績十分。特に中村七段は前回、チーム羽生の一員として参加し、大会初の「3連投・3連勝」という離れ業もやってのけた。また青嶋六段は居飛車、振り飛車どちらも指しこなすオールラウンダー。独創的な指し手で知られる佐藤九段との3人組は、上位進出も期待できる強いチームになりそうだ。

 ABEMAトーナメントは、大会後に公式戦でも活躍する棋士が出ることでも知られている。ドラフト指名も、リーダーとなるトップ棋士たちが、将来有望な若手の実力を、しっかりと見極めていることがよくわかる。

 山口女流二段 伊藤匠先生(五段)は絶対に選ばれますよね。1巡目で競合してもおかしくない。渡辺和史先生(五段)も独自の形を持っていらっしゃって、連勝もしています。あと出口若武先生(五段)は、最新型をめちゃくちゃ研究していて、やっていることを真似するだけで、かなり棋力が上がるくらいすごいですよ。それに船江恒平先生(六段)も独自の研究をされている。横歩取りをフィッシャールールで出されたら、相手にとってかなり怖いんじゃないですかね。

 過去2回のドラフトを振り返れば、確かに2巡目に指名された棋士がチームの鍵を握ることも多かった。今年はどんな棋士が選ばれ、旋風を巻き起こすか。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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