「専門家だからと安易に拡散しないで」ウクライナ侵攻のデマを検証… “誤情報検証サイト”運営者を取材
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「ライブ中継中にウクライナ人の遺体が動いた」

 ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、懸念されているのが「誤った情報の拡散」。SNS全盛期の現在、善意で発信したはずの投稿が時として誤った情報を広め、混乱させてしまうこともある。

【映像】誤情報の拡散を防ぐために…私たちができること

 こうした中で、注目を集めているのが、誤った拡散を生まないためのWebサイト「ファクトチェック・ナビ」。ウクライナ情勢に関連した情報を検証した記事をまとめ、公開している。

 例えば「ライブ中継中にウクライナ人の遺体が動いた」という投稿は、3月初旬ごろから拡散が始まり、世界中で瞬く間に話題となった。「ロシアの攻撃で亡くなったウクライナ人という設定」「ウクライナ側のPR戦略」といったさまざまな憶測を生んだが、拡散された動画はオーストラリアで開かれた気候変動対策への抗議活動を取材したものだったとBuzzFeedが報じている。(※3月4日)

 このように、サイトと提携するメディアの検証結果を掲載し、誰もが無料で情報の真偽を確かめられるようになっている。

「専門家だからと安易に拡散しないで」ウクライナ侵攻のデマを検証… “誤情報検証サイト”運営者を取材

「ネット上をはじめ、ウクライナの戦争に関する真偽不明な情報が飛び交っている。これに関するファクトチェックの結果を一目で確認できるように、特設サイトを運営している『ファクトチェック・ナビ』へ(専用サイトを)設置した」

 こう話すのは、サイトを運営するファクトチェック・イニシアティブ(=FIJ)の楊井事務局長。FIJは社会に誤った情報が広がるのを防ぐため、ジャーナリストらの呼びかけによって2017に設立。ファクトチェックサイトの運営や疑わしい情報を検知するシステムの開発など、これまで多岐に渡って活動を行っている。

 ウクライナ情勢に関する情報が無数に溢れる中、誤った情報を広めないためにはどうすれば良いのか。楊井氏は「情報と一定の距離を置くことが重要」だと話す。

「我々ファクトチェックをしているメディアの人たちも含めて、全部見極められるわけではない。何が本当なのか、専門家でも全て分かっているわけではないと思う。必ずしも『専門家が紹介したから正しい』とは言えないので、安易に拡散しないのがベスト」

「専門家だからと安易に拡散しないで」ウクライナ侵攻のデマを検証… “誤情報検証サイト”運営者を取材

 何が正しい情報で、何が間違った情報なのか――。技術の発達により、情報の見極めが困難になっている中、楊井氏は「(ファクトチェック・ナビに載っている)サイトの情報も100%正しいとは限らない」とした上で、「情報を受けとる側に対し、納得できる根拠があるかを確かめてほしい」と訴える。

「ロシアだけではなく、ウクライナ側からの情報にも当然気をつけなければならない。一番気を付けなくてはならないのは、いつ・誰が・どこで撮ったものなのかは必ずしも明示されていないということ。メディアやジャーナリストを通じて、『これはここで確実に撮られたものだ』と確認されて報道されるものならある程度信頼できるが、そうでないものも多いので気をつけなくてはならない」

「専門家だからと安易に拡散しないで」ウクライナ侵攻のデマを検証… “誤情報検証サイト”運営者を取材

 このニュースを受けて、臨床心理士で明星大学心理学部准教授の藤井靖氏は「フェイク情報がはびこる背景には、3つの要素がある」と説明した。1つ目は「重要な事柄であること」、2つ目は「先行きが不透明であること」、3つ目は「不安が喚起されやすい対象であること」。こうした要素を伴うと情報量が増え、同時にフェイク動画・デマ・陰謀論が広がりやすくなるという。

「我々は今後どうなるのか……不安になると、『できるだけ早く結論が欲しい』『確かな情報をリアルタイムで手に入れたい』という気持ちになる。仮に客観的な結論や真実があるとして、それに早くたどりつきたいがために、自分の不安を肯定するような情報に引き寄せられていく。それが実際にはフェイク・陰謀論・デマの拡散につながっていることもある」

 私たちが誤った情報を拡散しないためにはどうしたら良いのか。藤井氏は「多くの人の関心事にかかわる情報に触れるときこそ、私たちの思考パターンや、どういった態度になりやすいかを意識すべき」だと話す。

「特にウクライナ問題は、おおよそ『ロシアが悪い』という流れが世論や世界的な潮流としてある。そうした中で、特にSNSでは善意・正義中毒とも言われる場合があるが、良かれと思ってロシアに対するネガティブな情報を十分な検証なく拡散してしまう。また、これまで自分にロシアやウクライナに関する情報がなかったり、今回の件で初めていろいろなことに触れたりすると、偏った見方をしやすくなることもある。『アンコンシャス・バイアス』といって、普段はあまり表面化しないが以前から抱いていたその国に対するイメージが、この機に何かのきっかけで噴出することも起きやすくなる。そういったことに自覚的にならないといけない」

 それでは、今後どのように情報と接していくべきか。藤井氏は「SNSのような伝聞情報は、直接見聞きしたものよりも信頼性を持ってしまうこともある。SNSの限界を踏まえ、わきまえて、一線引くということが大事」だと明かした。(『ABEMAヒルズ』より)

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