3月23日のプロレスリング・ノア後楽園ホールは、来たる4月29&30日の両国国技館2連戦に向けて様々なアクションが起こる波乱の展開になった。

 まずはノアの頂点GHCヘビー級王座を巡る動きだ。2月23日の名古屋大会で中嶋勝彦を撃破して第37代王者になり、翌日にはノア入団を発表。3・21博多大会で田中将斗相手に初防衛を果たした藤田和之が聖地・後楽園にグリーンのタイツで初登場。ノア所属選手としてM’s allianceの活動休止を表明した丸藤正道、正規軍の小峠篤司、覇王とのカルテットで金剛の拳王、征矢学、大原はじめ、仁王と対戦した。

 入団の際に「これからは野獣ではなく、人間・藤田和之、ノアの藤田和之として生きていきたい」と真人間宣言をした藤田は、この日も客席に一礼してからベルトを掲げ、心を入れ替えたこと態度で示す。ゴング前に征矢が突っかかってくると「お下がりください」、征矢がさらに挑発しきても「レフェリー、どうしますか?」と冷戦沈着、そして「私が行きます」と先発を買って出た。

 野獣を封印する姿に客席からは思わず笑いも起こったが、いざ試合が始まるや、以前と変わらぬ爆発力を発揮。中盤、丸藤にタックルを誤爆するなどのヒヤリとさせられる場面もあったが冷静に対処し、最後は仁王をラリアットからパワーボムで叩きつけて王者の強さを見せつけた。

 試合後は再びジェントルマンに。丸藤に握手をさりげなく拒絶されたものの一礼し、小峠と覇王にも深々と礼、そして客席四方に「ありがとうございました」と呟きながら深々と礼。バックステージでは報道に「アイム・ノア」を3回連呼、さらに「アイム・チャンピオン。アイム・ノア」と告げて控室に消えた。

 この王者・藤田に挑戦の名乗りを上げたのが潮崎豪だ。潮崎は右上腕二頭筋腱脱臼の手術を乗り越えて昨年12月に9ヵ月ぶりに復帰したが、元日決戦で中嶋のGHCヘビー級王座に挑戦して敗れ、1・4後楽園では清宮海斗にも敗れて「欠場している間、ノアの最前線で戦ってきた選手を倒さないとGHCも見えてこない」と杉浦貴、田中、丸藤、拳王と4番勝負を敢行。全敗したものの「俺が望んでいたリング上のノアの戦いはこれだ。欠場して休んでいた部分は気持ち、心。それを取り戻せた」と巻き返しを誓った。

 そして3・13横浜武道館で征矢、3・21博多大会ではGHCヘビー級王者時代の20年9月23日の後楽園ホールにおける『N―1 VICTORY2020』公式戦で敗れている望月成晃に勝利。この日のメインで前GHCヘビー級王者の中嶋に元日の雪辱を果たして、藤田に挑戦を迫ったのである。

 戦いは苦しかった。中嶋にしても藤田へのリベンジを狙う立場だけにバチバチの勝負に。駆け引きや探り合いなしに序盤から潮崎のチョップと中嶋のキックが交錯した。特に5分過ぎから10分までの逆水平チョップのミドルキックの応酬は圧巻!

 最後は潮崎が中嶋の右ハイキックを右の剛腕で砕いて逆転の豪腕ラリアット一閃。中嶋にカウント1で跳ね返されたものの、勝負をかけた潮崎は「中嶋!」と叫びながら走り込んでの豪腕ラリアットで勝負をつけた。

 死闘を制した潮崎はマイクを取ると、心から絞り出すように「アイ・アム・ノア!」と絶叫。元日決戦で「俺がノアだ!」を宣言していた中嶋に敗れて以降、封印していた言葉を、自信を持って復活させたのである。

 潮崎の「お前に挑戦させろ! アイ・アム・ノア!」に対し、ベルトを持ってノアのジャージ姿でリングに登場した藤田は「アイム・ノア!」と返答。

「アイム・ノア」を宣言する王者・藤田か? それとも「アイ・アム・ノア」を復活させた潮崎か!? 両雄のGHCヘビー級選手権は4・30両国に正式決定した。

 両国2連戦初日の4・29大会はジュニア主体のブランド『N Innovation』として開催されることになっており、ジュニア戦線でも大きなアクションがあった。

 第3試合のノア・ジュニア正規軍=原田大輔、アレハンドロ、宮脇純太vsPERROS DEL MAL DE JAPON=NOSAWA論外、鈴木鼓太郎、スペル・クレイジーの6人タッグに謎のマスク集団が現れてノア・ジュニア正規軍を急襲。マスクの下から出てきたのはドラゴンゲートのシュン・スカイウォーカー、H・Y・O、SB KENTo の3人。シュンは前GHCジュニア王者の原田を必殺SSW(旋回式開脚パワーボム)で叩きつけてみせた。

 3人はドラゴンゲートの極悪ユニットR・E・DからリーダーのEitaを追放し、新たなヒールユニットZ-Bratsを結成して乗りに乗っている。「お前らの低俗な戦いで日本のプロレスを汚すな」という4・29両国へのアピールにノアは迅速に対応して原田、アレハンドロ、宮脇との6人タッグを決定。GHCジュニア王座を失ったばかりの原田らがノア・ジュニアを守れるか? これは正念場だ。

 3・13横浜武道館で原田からGHCジュニア王座を奪取したEitaも襲われた。EitaはYO―HEYとシングルで対戦。場外乱闘になった際、HAYATAが鉄柵を飛び越えて本部席のGHCジュニアベルトを手にすると、Eitaの顔面を殴打したのだ。

 試合はノーコンテストになったが、HAYATAはお構いなしに割れたEitaの額をベルトでえぐる大暴走。3・21博多大会でシャンプーまみれにされるという屈辱を味わわされた恨みを晴らすと同時に「次は…俺や!」と挑戦の名乗りを上げた。血の匂いがするEitaとHAYATAのGHCジュニア戦は4・29両国で実現する。

 4・29両国には19年夏から20年1月まで小川良成率いるSTINGERのメンバーとして活躍していたイギリスのクリス・リッジウェイが来日。もちろんSTINGERとしての参戦だ。さらに19年12月と20年2月に驚愕の空中戦を披露したメキシコのドラゴン・ベインとアルファ・ウルフ(当時はイホ・デ・カニスルプス)が参戦して、初参戦のアメリカの空中戦士ニンジャ・マックを加えた3WAYマッチが行われることも決定した。

 ヘビー級では20年4月に潮崎&中嶋を破って『グローバル・タッグリーグ2020』優勝、丸藤&望月を破ってGHCタッグ王者になりながら、コロナ禍で来日できなくなって王座返上を余儀なくされたレネ・デュプリとイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.が来日する。

 ドラゴンゲート、世界を巻き込む形になったノアの両国2連戦。まだまだ大会本番まで何が起こるか予断を許さない!

文/小佐野景浩