卒業、そしてまもなく入学シーズン。この時期、1月〜4月1日に生まれた「早生まれ」の人の中に、不安を抱える人がいる。
日本トレンドリサーチが調査・発表した「誕生月に関するアンケート」(2020年)のデータで「早生まれは不利」と感じていた当事者は42.8%だった。
【映像】ひろゆき氏「誤解されると思うが…」学歴と収入の関係に言及(12:47ごろ)
実際に4月1日生まれで“早生まれの最後”であるHaruさん(24歳)は「振り返ってみると、劣等感を感じたことはたくさんあった」と話す。
ほかの同学年の生徒と最大約1年も違ったHaruさん。幼少期は周りとの差も顕著だったという。
「運動面が一番大変でした。かけっこや鉄棒は、どう頑張っても遅生まれの人たちには追い付かないし、引き離されちゃう。もう無理と思っていた。早生まれの人たちは努力して、遅生まれと一緒の学年で生活しようと頑張っている。苦労を知ってもらえたらうれしい」
また、琉球大学教授の西本裕輝氏は、教育・社会学の観点から「早生まれの不利は多岐にわたる」と指摘する。
「運動能力だけでなく学力、学歴、社会に出てからの収入などのデータを見ても、早生まれが不利になっている。本来であれば、発達の観点からすると幼少期だけの話であるはずなのだが、大人になるまでそれが尾を引いてしまうことがある」
自分では決められない誕生日で、不利を感じてしまう早生まれ。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演したネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「どこかで区切りをつけなきゃいけないという考えは間違っている」と発言。
「フランスは9月区切りだが、8月生まれの子は前の年か後ろの年か選んでいい。『別に数カ月ぐらいずれてもいいじゃん』って言うぐらいだったら、今のシステムでは、(最大で)12カ月の差がある。6カ月ぐらいなら好きに選べればいい。『11月以降に生まれた子は、前の年でも後の年でも、好きなところにどうぞ』に変えればいいだけだ。早生まれ・遅生まれの問題ではなく、文科省の問題だと思う」
また、ひろゆき氏は「学校の先生は“できる子”に教えたがる。野球も“できる子”に教えるので、1年の差を無視した場合、Haruさんもやれば本当は野球がうまくなるかもしれないのに、それより早く生まれた子の方がキャッチボールとかを早めにやるから、そういう子ばかりに先生が教える。だからプロ野球選手も4月生まれ、5月生まれが多い」とコメント。
西本氏によると「ひろゆきさんがおっしゃるように、野球選手やサッカー選手に遅生まれの人が多く、早生まれが少ないというデータがある」という。「運動面だけではなく、主に経済学の分野の研究で、学力にも差があることがわかっている。学力の差が収入の差にもつながっていて、いずれも早生まれの方が低い。いろいろなデータから見ると、残念ながら現段階において早生まれは不利であると結論付けざるを得ない」と述べた。
欧米には、小学校入学を1年間遅らせる「レッドシャーティング」というシステムがあり、西本氏は「レッドシャートは“赤シャツ”のこと。アメリカのカレッジスポーツは、登録期間が4年間しかない。だから、遅れ気味の選手は1年間登録を控えて、2年目から登録する。そういう選手たちが赤シャツを着ていたところから(由来が)来ている。それを猶予制度として、教育にも応用した。せっかくいろいろなデータが出ているので、政策に生かすために、日本でも検討したほうがいいと思う」と話した。
お笑いコンビ・千原兄弟の千原せいじは「例えば、科目ごとに学年を分けてもいいんじゃないか。みんなが同じように理解して上がらなければいけないなんてことはない」と指摘。これにひろゆき氏も「そっちの方が正しい。掛け算が分からない子に割り算を教えてもしょうがない」と同意。「1歳違うのだから、差を感じない方がおかしい」と意見を述べた。
教科ごとに学年を変える制度は作れるのだろうか。この質問に西本氏は「制度を変えるのは難しい。検討しても、導入まで時間がかかることもある。大いに議論をするべきかとは思うが、現実問題としては難しいだろう」と回答。
ひろゆき氏は「フランスは小学生でもカジュアルに留年させる」といい「頭いい・悪いは関係なく、発達は子供によって違う。発達が遅めの子は1年ずらして留年させればいい。科目ごとに学年をずらすことが法律的に難しくても、今の日本の教育制度でもできるはずなので、もっとカジュアルに留年してもいいと思う」と持論を展開。「そういう子が小学校の1学年に4、5人いると『そうなんだ、へー』で終わる。珍しいと、留年すると『ちょっと頭の弱い子』だと思われてしまうが、人数がいれば『そういう子はけっこういるよね』となる。発達がたまたま遅いだけ。頭の良い子が掛け算を分からないまま進んで、割り算が分からなくて、数学が苦手になってしまうパターンはすごくもったいない」
さらに、ひろゆき氏は「若いうちに子どもを褒めて育てるというのはすげー重要。基本的に子どもはできないが当然だけど、できると”俺、得意なんじゃね”と勝手に思い込む。時間かければ足し算とか掛け算は誰でもできるので、ひとまず褒めまくって“あぁ俺、頭いいのか”と、ちょっとずつ差が付く」と話していた。(「ABEMA Prime」より)
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