ゼレンスキー大統領演説、通訳者が原稿を受け取ったのは“1時間前”か「歴史的な仕事だ」
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 23日、ウクライナのゼレンスキー大統領は、日本の国会でのオンライン演説を行った。通訳は、演説と同時に行われ、在日ウクライナ大使館の職員が担当した。

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 ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、ウクライナ研究の第一人者で神戸学院大学教授・岡部芳彦氏は、ゼレンスキー大統領の演説をどう見たのだろうか。

「いい意味で期待を裏切られた演説だった。アメリカでの議会では、すごく凄惨な戦場の画像などを見せて訴えかける手法だったが、演説自体が日本人に向けてアレンジされたものだった。事前に予想された演説とは、異なっていた」

 その上で、岡部氏は、演説内容のポイントとして、大きく「国会演説のキーワード」「通訳の巧みさ」「暗喩と隠喩が絶妙」の3つに分ける。

1.国会演説のキーワード

「『感謝』『平和』『復興』がキーワードで、特に『平和』は、13回ほどウクライナ語で確認できた。『復興』は、戦場にいるゼレンスキー大統領が、戦争のあとのことを予想して、日本が経験してきた“戦後復興”あるいは、“震災復興”を意識した演説だった」

2.通訳の巧みさ

「日本語とウクライナ語の両方で演説を聞いたが、非常に正確な通訳だった。私が知る限り、通訳者の手元に大統領演説のテキストが届いたのは、1時間前だった。歴史的な演説だったが、通訳者も歴史的な仕事をしたと思う。文量と内容の複雑さから、1時間で翻訳するのは、大変な仕事だ。1時間であそこまで訳した通訳者に拍手を送りたい」

3.暗喩と隠喩が絶妙

「他の国の国会で演説されたときもパターンは似ていて、ご当地ネタと支援の要請だった。例えば、イスラエルでは、『アイアン・ドーム』と言われる対空兵器を要請していたのだが、日本の場合は、そういうのがなかった。一方、『住み慣れた故郷に戻りたい気持ちが、日本の皆様にはわかると思います』という表現をされていた。これを聞いたときに頭に浮かんだのは、北方領土に住んでいた元島民やシベリアから帰れなかった日本兵。それぞれが行間を読める良い演説だったと思う」

 日本が経験したことを思い出させるような演説だったと語る岡部氏。ゼレンスキー大統領は、日本に何を期待しているのだろうか。岡部氏は、演説のキーワードでもある“戦後の復興”と推測した。

「復興への期待が一番大きい。軍用品などの支援も行っていて、ロシアへの経済制裁なども実施しているので、そうなると戦後復興のための金銭的な支援が期待されている。日本は2014年のクリミアのときも、支援を行ってきた。そういう事例を知っての期待なのではないかと思う」

 最後に、演説を通して感じたことを岡部氏は語った。

「演説は、感謝の言葉から始まったのが印象的だった。ロシアのプーチン大統領は、演説が得意。その内容は、妄想の歴史観と脅しが含まれることが多い。それに比べてゼレンスキー大統領の演説は、我が国にも関連する事例を取り上げながら進めていく、共感力のある演説だった」

(『ABEMAヒルズ』より)

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