見えない角度から的確にアゴを打ち抜かれた敗者が、体の自由を失うように仰向けに倒れ、その後、うつ伏せにダウン。あまりに壮絶なダウンを受け、実況席から「これは無理」「体が硬直してる」など驚きの声が上がった。
3月26日に開催されたONE Championship「ONE X」。ノンオー・ガイヤーンハーダオ(タイ)とフィリップ・ロボ(ブラジル)のバンタム級ムエタイ・タイトルマッチは、3ラウンド、ノンオーがヒジの連打からアッパーを打ち抜いてロボから劇的KO勝利を収めた。
ONEに参戦して7連勝、技術の高さからここ数戦は着実に相手を仕留めるスタイルで圧倒してきた生きる伝説・ノンオー。対戦相手のロボは、元ONEキック王者のアラヴァディ・ラマザノフに代わり急遽代打出場となったが、ムエタイの強豪であるロドレックに手数で勝る判定勝ちを収めるなど、アップセットを演じてきた実績のある選手だ。
試合は終始ノンオーのコントロール下にあった。様子を見ながらの1ラウンドに続き、2ラウンドに入っても得意の距離からプレッシャーをかけロー、ミドルと余裕すら感じさせる攻撃を展開。手を出せず為す術もないロボの状況にABEMAの視聴者からは「レベルが違う試合」「今のところ圧倒的」といった言葉が並ぶ。
3ラウンド、ヒジやヒザなどで抵抗を試みるロボ。しかし、ギアをひとつ上げたノンオーのカウンターなどでことごとく返り討ちに。ノンオーはロボの反撃すべてをスウェイ気味にかわし、至近距離での連打にヒジを加えつつロボの体力とメンタルまでも削っていく。
そして3ラウンド残り1分、ヒジの連打に目を伏せたロボの動きを見逃さず、ノンオーは後に下がりながら狙いすましたように右アッパーを一閃。視界から消えた拳がアゴをえぐるように捉えると、ロボは前に崩れ落ちてから、ゴロリと天を仰ぎ絶望の眼差し。一度は腰を上げようとするがダメージは大きく、痙攣しながら力尽きるようにうつ伏せで終了となった。
壮絶なダウンシーンに解説の大沢ケンジは「これは無理…硬直している。いや、エライものを見たな…」と驚きを隠せない様子。これに視聴者も「なんというアッパーだ」「狙っていた」「あれは見えない」などと続いた。この衝撃的なKOシーンに海外のファンも注目。「外科医のように、相手を研究して仕留めた」「まるでマスターと学生の試合のようだった」などの声が上がっていた。