22日に全都道府県で「まん延防止等重点措置」が解除されて1週間あまりが経過。多くの飲食店が自治体からの要請に応じて営業時間を短縮、交付された「協力金」によって危機を乗り切ったものの、客足が元通り回復するのか、今後を不安視する声は少なくない。
【映像】コロナ協力金の功罪は 宅配の普及で飲食業は淘汰が加速?
その一方、売上よりも多額の交付を受けてしまう「協力金バブル」問題や、コロナ禍が無くても廃業していた可能性の高い飲食店が延命されてしまう「協力金ゾンビ」問題など、政策の“不公平感”を指摘する意見もある。
自身も大阪市内で焼肉店を経営する飲食コンサルタントの宇都裕昭氏は、「協力金によって助けられた飲食店も多く、実際に倒産件数はかなり減った。ただ、金額が適正だったかという疑問は残る。やはり画一的な収益構造・営業形態ではないし、平等性を100%担保するのは難しいだろうが、第7波が来るかもしれないと言われているし、改善の余地はあると思う」と話す。
店舗経営の経験も持つ慶應義塾大学の若新雄純特任准教授は「毎月の資金繰りの中でも苦しいのはテナントの賃料ではないか。経営センスや経営努力の問題はさておき、厳しい状況の人を救うという観点からは、家賃の金額に応じて補助してくれるだけで助かるという経営者は多いと思う」と指摘。
慶応義塾大学の夏野剛特別招聘教授は「今回の協力金のようなものは、非常時のセーフティーネットだ。今だからこういう議論もできるが、第1波、第2波の頃にメディアは“飲食店が大変なことになる”報じていたし、国もそれを受けてこういう政策を取った。ただ、デジタル化が進んでいればよかった。例えば納税額のデータと自治体の持っているデータと突き合わせることができれば、一律という配り方をしなくてもよかったと思う。
例えば僕が主張していたのは、家賃を取りませんと宣言してくれたテナントの大家さんについては、固定資産税を10年間くらい免除するということをやったらどうかと言っていた。もちろん、家賃を取ってないことを証明する方法を考えなきゃいけないが、今後こういうことが起こった時のためにも、そういう仕組みづくりの議論をしてくべきだ」とコメント。
宇都氏も「おっしゃるとおり、全員が納得するような形に落ち着くことはないだろうが、少なくとも家賃に一定割合を掛けるような交付額の決め方であれば、今よりも平等感は出るだろう。入居した際のように原状回復して退去する“スケルトン返し”もそうだし、賃貸契約の解約も3カ月、半年前に告知しなければならず、それで余計に家賃がかかってしまうことはある」と話していた。
これから人手不足や原材料価格の高騰といった課題もあり、さらに飲食店の淘汰が進む可能性があるとの見方もある。30日、東京都の小池知事は岸田総理と面会、都民や事業者に対するサポートについての連携を進めたいと要望したという。飲食店への支援策はどうなっていくのだろうか。(『ABEMA Prime』より)
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