指名の重複による抽選7回に、予想外の指名も続出。まさに波乱の連続だった。将棋の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送され、リーダー棋士14人が、それぞれ2人の棋士を指名、3人1組のチームが確定した。ドラフト会議の後に行われるエントリートーナメントを経て、全15チームが出揃い、熱い戦いがいよいよ幕を開ける。注目の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)は50代の先輩棋士2人を指名。前回の最年少チームからガラリと様子を変えて、個人・団体5連覇を目指すことになった。
第3回から団体戦となり、ドラフト会議も今回が3回目。リーダー棋士たちもドラフト会議の雰囲気、チームづくりのイメージが掴めるようになったか、今年のドラフト会議は過去2回以上に様々なことが起きた。最も目立ったのは、ドラフトの華でもある指名重複による抽選だ。永世名人の有資格者である森内俊之九段(51)には、藤井竜王、豊島将之九段(31)、糸谷哲郎八段(33)が1巡目で指名。大会最多の3人重複がいきなり発生した。ここでは藤井竜王が強運を発揮し、当たりくじをゲットした。また、ここで外した豊島九段は、再度指名した郷田真隆九段(51)も佐藤康光九段(52)と指名がかぶり、再度抽選に。またも外し、抽選2連敗となった。
また1巡目では、佐藤天彦九段(34)が過去の大会で苦しめられていた増田康宏六段(24)を指名し、永瀬拓矢王座(29)からの“強奪”を狙ったが、くじで敗れ作戦は失敗に終わった。2巡目では、佐々木勇気七段(27)にも3票が集まる人気に。1巡目、2巡目で計7回も抽選が発生するという盛りだくさんのドラフト会議になった。
大会初参加の棋士にも注目だ。藤井竜王は2巡目に藤井猛九段(51)を指名し、ファン待望の「ダブル藤井」が結成されることに。また初のリーダーを務めた山崎隆之八段(41)は松尾歩八段(42)、阿久津主税八段(39)を指名した。この他、初参加はチーム渡辺・渡辺和史五段(27)、チーム康光・先崎学九段(51)、チーム糸谷・西田拓也五段(30)、チーム稲葉・出口若武六段(26)、チーム菅井・佐藤和俊七段(43)で、20代の若手から50代のベテランまで、計8人が初の参加となった。
実力ある棋士も冷や汗をかく超早指しに、棋士がめったに見せない表情を出すチーム動画と作戦会議室。真剣勝負とエンターテインメントが融合された団体戦の幕開けは、もうすぐだ。
◆予選リーグ組み合わせと各チームメンバー(リーダー・1巡目・2巡目)
【Aリーグ】
チーム永瀬 永瀬拓矢王座 増田康宏六段 斎藤明日斗五段
チーム羽生 羽生善治九段 中村太地七段 佐藤紳哉七段
チーム三浦 三浦弘行九段 伊藤匠五段 池永天志五段
【Bリーグ】
チーム糸谷 糸谷哲郎八段 黒沢怜生七段 西田拓也五段
チーム菅井 菅井竜也八段 久保利明九段 佐藤和俊七段
チーム斎藤 斎藤慎太郎八段 木村一基九段 佐々木勇気七段
【Cリーグ】
チーム豊島 豊島将之九段 丸山忠久九段 深浦康市九段
チーム山崎 山崎隆之八段 松尾歩八段 阿久津主税八段
チーム広瀬 広瀬章人八段 青嶋未来六段 三枚堂達也七段
【Dリーグ】
チーム康光 佐藤康光九段 郷田真隆九段 先崎学九段
チーム天彦 佐藤天彦九段 梶浦宏孝七段 佐々木大地六段
チーム稲葉 稲葉陽八段 服部慎一郎四段 出口若武六段
【Eリーグ】
チーム藤井 藤井聡太竜王 森内俊之九段 藤井猛九段
チーム渡辺 渡辺明名人 近藤誠也七段 渡辺和史五段
エントリーチーム
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)