自虐もここまで貫けば、立派なエンタメコンテンツだ。将棋の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送された。今大会から初めてリーダーとして参戦する山崎隆之八段（41）は1巡目に松尾歩八段（42）、2巡目に阿久津主税八段（39）を指名。アラフォー三人衆の結成となったが、この指名理由を聞かれ「残念な3人」「チーム厄年」と自虐ネタを連発。周囲の棋士やファンの笑いを誘いつつ、応援が殺到することとなった。
山崎八段は個人戦だった時からこの大会に出場。早指しの雄として参戦したものの、思ったような成績が残せず、さらには対局中にパニックになるなど盤上で慌てまくると、チーム動画でも大きなリアクションやNGを連発。ファンを楽しませるエンターテイナーとして大活躍してきた。その中には、本人のネガティブな発言、行動などもあり、これがまたさらなる笑いを誘うこともあった。
そして迎えた自身初のドラフト会議。1巡目で松尾八段を指名したところ、佐藤康光九段（52）と重複。「絶対にかぶらないと思っていた。康光先生とかぶって、パニックになってしまいました」と苦笑いしたが、抽選くじでは無事に当たりをゲット。渾身のガッツポーズまで飛び出した。そして2巡目には阿久津八段を指名。他のリーダーが若手、ベテランを選ぶ中、アラフォーで固めるオリジナル路線のチームが完成した。
ここからが山崎八段のトークショーの始まりだ。2巡目、阿久津八段の指名理由を聞かれたところ「松尾さんが決まっていたので、パズルのピースがはまった。『残念』とつけられた3人が残っていたので」。この「残念」とは、この3人に引退した橋本崇載八段（39）を加えた4人に対して、一部で「残念四天王」と呼ばれたことに由来する。少し上には羽生善治九段（51）を代表とする「羽生世代」の棋士が綺羅星の如く並び、30歳前後には永瀬拓矢王座（29）らタイトルホルダー、経験者がいる。さらにそこから10年下に藤井聡太竜王（王位、叡王、王将、棋聖、19）ら若き才能が続出している。確かに活躍する棋士に挟まれてはいるものの決して「残念」ではないが、山崎八段はこれをはっきりと覚えていたようだ。
山崎八段の自虐はまだ続く。「私が本厄で松尾さんが後厄、阿久津さんが前厄なので『チーム厄年』でちょうどいいかなと」。各チームが予選突破、本戦での活躍、優勝を目指すという中で、チーム名からして「厄年」という言葉を用いるあたりから、将棋同様にかなりの独自路線だ。「マイナス、マイナス、マイナスをかけて、誰かがプラスになればいいですね」と、最後にようやく少し前向きなコメントが出てきた。
この山崎ワールド全開のシーンに、ドラフト会議に参加していた棋士からも笑いが起こると、視聴者からは「残念なのかよｗ」「チーム厄年」「チーム動画、絶対神社行くやん」「マイナス３つ掛けたらマイナスやで！」と、笑いと応援が入り混じったコメントが多数寄せられていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
（ABEMA／将棋チャンネルより）
