新たな戦いの始まりにも、まず楽しみになったのは「ほんわか映像」だ。将棋早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」のドラフト会議が4月2日に放送された。多数の重複あり、サプライズ指名ありと盛り上がった大会3回目のドラフト会議だったが、過去2年、惜しくも予選をぎりぎりのところで敗退していた豊島将之九段(31)は、1巡目で2度も重複、さらに連続で外すという不運。それでも丸山忠久九段(51)、深浦康市九段(50)という頼れる先輩2人をパートナーにした。これには大の将棋ファンとして知られるタレント伊藤かりんも「チーム動画では、ひたすらほんわかに振り切ってほしいです」と、優しい表情で目をきらきらさせた。
豊島九段の今回のテーマは、先輩から学ぶこと。そこで1巡目には、今大会でも実績がある永世名人・森内俊之九段(51)を指名した。ところがここに3票が集まり、抽選の結果、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)が当たりくじをゲット。さらに外れ1巡目では、郷田真隆九段(51)の名を書いたが、再び佐藤康光九段(52)とかぶり、またも抽選で外した。過去2年、自分が勝利すれば本戦進出という“鬼勝負”で敗れるなど、あまり縁がないと思われがちなところに、2連続の抽選負け。ただ、誕生した新たなチーム豊島の顔触れに、伊藤の目尻は下がりっぱなしだ。
人間味溢れる先輩棋士が実に頼りになる。「丸山先生も深浦先生も強いですし、このチームはとてもほんわかしています」。また、盤外も楽しみは大きい。「対局はもちろん、対局の合間に見える様子も好きです。チーム動画も楽しみにしています。団体戦1年目に羽生善治先生(九段)のチームは、うさぎと触れ合っていましたが、今回もそういった感じで、ひたすらほんわかに振り切ってほしいです。私、丸山先生の笑顔にはひたすら癒やされるんです(笑)」。豊島九段は過去2年、後輩とチームを組んだが、今年は50代の先輩の力を借りる。チームを引っ張る役割から解放され、今までと違った素顔が見られるのではと、ファンの期待も高まるポイントだ。
この他、注目ポイントとしてはチーム藤井で藤井竜王が藤井猛九段(51)を指名したことで結成される「ダブル藤井」の絡みをあげた。また親交のある山崎隆之八段(41)が同世代の松尾歩八段(42)、阿久津主税八段(39)を指名したことには「羽生世代の1つ下にあたる世代。この世代を好きな方は、かなり多いと思うので、人気が出ると思います」と喜んだ。
今年もまたバラエティーに富んだ14チームが完成し、さらに予選を勝ち抜いた3人による1チームを加えて、全15チームでの戦いが始まる。「昨年からガラッと変わったチームにもなったので、どのチームが活躍するか楽しみです。団体戦ならではの団結感もありますし、ABEMAトーナメントでしか見られない姿をたくさん見られたら嬉しいです」と、毎回見てきた伊藤も、新たに生まれる真剣勝負と笑いのコントラストが待ち遠しそうだった。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)