高校の金融教育は「習うより慣れよ」? “株式会社”設立で目指す「地域活性化と起業家精神の育成」
【映像】「習うより慣れよ」? 商業高校の金融教育
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 今年度から、全国の高校の授業で必修化される「金融教育」。子どもたちのお金との結びつきがより密接になっていく中、“ある取り組み”を始めた学校に注目が集まっている。

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 兵庫県立長田商業高校が始めたのは、「株式会社の設立」。生徒らが中心となり、今年1月に株式会社NAGAZONを設立した。生徒らの手によって会社が経営され、地元商店街と連携した商品の販売などを行っている。

「本格的に株式会社の経営を学べる学校はなかなかないので、それが実際にできるような場を設けようと思った」(兵庫県立長田商業高校・芝本龍也教諭)

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 これまでも長田商業ではものを作り、売る授業を行ってきた。しかし、公立校という立場ゆえに「学べない部分も多々あった」と芝本教諭は話す。

「公立高校だから、基本的に(販売授業で)利益を出してはいけない。利益を出せなかったら原価率を計算して、実際に売り上げを伸ばしてその利益を使い、より販売の場を広げていくような実際のビジネスとはちょっと違うなと。商業という学びでありながら、あまり商業ではない。受けたものを売っているだけ、横流しにして売っているだけだというのが感覚的にあった」

 利益を追求していく、より実践的な授業を――。公立高校に置かれた「利益を出してはいけない」という現状を打破するために設立されたNAGAZON。資本金は同窓会やクラウドファンディングを通じて集め、社長には長田商業の元校長先生が就任した。

 会社と学校の連携もビジネスそのものだ。生徒は入学時にNAGAZONの株式を1株購入。株主として株主総会に参加し、授業の内容などを決定する。その後、NAGAZONは学校に業務委託という形で仕事を依頼するシステムになっている。

 こうした仕組みを踏まえて、芝本教諭は「地域の方々の悩みを解決するような商品を考えたり、流通を活性化させるためにその地域の商品を仕入れて売るなどのビジネスなどを考えたりする。上げた利益を生徒の教育の活動資金に充てたり、地域に還元できれば」と語る。

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 今後は学校で生産したオリジナルのハーブの販売や、地元商店街と連携した活動を行っていく予定のNAGAZONに、生徒たちも大きな期待を寄せている。

「商業は色々な仕事に関係してくると思う。言葉遣いや姿勢などを3年生までにマスターし、実際に自分で働く現場で取引相手などに失礼がないようにしていけたらと思う」(長田商業高校3年生・中西雄心さん)

 まさに「習うより慣れよ」とも言える会社と学校の連携。芝本教諭は、地域活性化とともに長田商業が目指すのは「実践的な授業を通した“起業家精神の育成”」だと明かす。

「どのようにしたら効率的にできるか、どうすれば楽しんで仕事ができるかというような『創造性を育むこと』を目的として、起業家教育を進めていこうと思っている。これからはVUCA(先行きが不透明な)時代と言われているが、創造性と協調性、コミュニケーション力、批判的思考力を(生徒に)身につけさせたい。色々なことにチャレンジしながら協働して、共に働きながら自分たちでビジネスを創造して生きていく力を身につけてくれたらと思う」

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 ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで「やさしいお金の専門家」の横川氏は、こうした長田商業高校の取り組みについて「商業高校ならではの良い取り組み。実践的で楽しみながらできる」と称賛した。

 今月から新しい学習指導要領が実施され、高校の家庭科では「資産形成」の授業が導入される。この狙いは、高等学校学習指導要領から一部を抜粋すると「購入方法や支払い方法の特徴が分かり、計画的な金銭管理の必要性について理解すること。現代の生産や金融などの仕組みや働きを理解すること」となっている。高校で資産形成を学ぶことのメリットについて、横川氏は「成人年齢の引き下げで、18歳から証券口座を開設できるようになった。投資の仕組みをしっかり学べるのはすごくいいこと」だと解説する。

「教材にも投資信託の仕組みなどが載っているが、教科書によっては解説が丁寧だったり、あっさりしていたりするものもある。先生に基礎知識があるかどうかや選ぶ教材によっても、受け取る側にリテラシーの差が生まれそう。金融教育にも色々な項目がある中で、何のどこに比重を置くかなど、学校や先生によって差が生まれてしまうと思う」

 一方で、金融教育の授業における課題についてはどう解決していけば良いのか。横川氏は「金融教育自体はこれまでも行っていたが、若い世代は『(それを)金融教育だったとは思っていない』と言っていた。そうした人もいる中、限られた時間でどう教えるか。先生たちが、金融リテラシーを身につけていくことの大切さを理解したうえで、丁寧に教えていくことを心がける必要がある」と訴えている。(『ABEMAヒルズ』より)

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