日本が世界に誇る一大コンテンツ「漫画」。その市場規模は、国内だけで約6000億円を突破するなど、大きく盛り上がり続けている。そんな中、漫画家に関する“あるプロジェクト”が注目を集めている。
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“個人で稼げる漫画家の育成”をテーマに掲げ、去年8月にスタートしたプロジェクト「アクセルナイン」。このプロジェクトを立ち上げたナンバーナイン編集部・執行役員の工藤雄大さんは、漫画家の抱える“悩み“がプロジェクトの背景にあると話す。
「(漫画家は)ヒット作品が出るまでの食べていけない時期にある“高い壁”で『そのやり方が合わない!』と言って諦めてしまう方もいらっしゃる。じゃあ、そういった方々が稼げなくていいのかというと、そうではないと思います。私たちは、そういった商業(出版社の出す雑誌など)ではない作家さんの個人作品でも“稼げる場所”を提供したいんです」
「雑誌以外でも漫画家が食べていける環境を整える」。こうして立ち上がったアクセルナインの第一弾募集には55人が応募し、(選ばれた)2人が受講。約半年にわたるカリキュラムが施され、稼げるまんが道を歩んでいくという。そして、その第一歩となるのが、Twitterへの漫画投稿だ。なぜTwitterなのか。
「(理由は)Twitterは“手軽に自分の作品を試せる場所”だからです。手軽に試せて、その先もずっと続けていける。“コストの低さ”も大きいですね」」
プログラムでは、Twitterに投稿する4ページの漫画を制作。1度に投稿できる枚数の上限という理由から、あえて4ページに設定されている。一般的な漫画より遥かに少ないページ数だが、その4ページにこそ、“Twitter漫画の真髄”ともいえる奥深さがあると工藤さんは言う。
「4ページで伝えるってめちゃくちゃ難しいので、1ページ当たりの情報量は雑誌連載されている物よりは多くなります。どれだけ短い言葉で、絵を使って端的に出てくるキャラクターの一発目の印象と状況を説明できるかなどを意識して一番時間を使っているかもしれません。見てくれる人のことを想像して『ここは省いても伝わるだろう』とか“情報を整理する”というところは大切にしています」
今年一月には、アクセルナインの第一弾が終了。卒業生たちもフォロワー数を増やし、Twitterで漫画の連載をスタートさせるなど、売れる漫画家への一歩を踏み出しつつある。SNSの普及、そして、漫画アプリの登場によって、稼ぎ方も大きく変貌してきている漫画業界。Twitterへの投稿がきっかけで、電子書籍化やアニメ化などの二次販売に繋がるなど、出版社に漫画を持ち込むという選択肢だけだったのは、今は昔の話に……。
漫画家の背中を後押しし、加速させたいという思いが込められた「アクセルナイン」。カリキュラム終了後も、互いを助け高め合う”ギルド”のような存在にして行きたいと工藤さんは期待を寄せる。
「Twitter上でお互いの作品を相互でリツイートしあったり、高めあって頂きつつ、そこに新しい人をどんどん入れて、その人たちがまたインフルエンサーになって…。というような循環を作っていきたいなと思っています」
こうした個人で稼げる漫画家の育成を目標にした“SNS時代の漫画家養成プログラム”が今後も注目を集めていくのだろうか。「アクセルナイン」第2期は5月に実施予定だという。(『ABEMAヒルズ』より)
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