文句なしの勝利だった。4月3日のK-1・代々木第一体育館大会に出場した“ダークヒーロー”安保瑠輝也は、ムエタイのプライチュンポンと対戦して1ラウンドKO勝利を収めている。

 試合開始直後からアグレッシブに攻撃を繰り出していった安保。迫力ある連打で圧倒すると、まずは右フックでダウンを奪う。立ち上がったところへ、今度は左のボディ。相変わらずの攻撃力の高さを見せつけての勝利だ。

 昨年9月のウェルター級トーナメントでは、決勝で野杁正明に倒された安保。スーパー・ライト級に続いてのタイトル獲得はならなかったが、すぐに再起を果たす。12月の海斗戦でも1ラウンドKO。今回で2連勝となった。

「カリスマ過ぎて1ラウンドで倒しちゃいました」

 マイクを握ると堂々と語った安保。狙いはもちろん、野杁へのリベンジだけだ。プライチュンポンは1年前に野杁と対戦し、判定負け。つまり野杁はKOを逃している。そんな相手を1ラウンドで倒したのだから、今回の安保はリマッチ実現に向けての「ミッション」を一つクリアしたと言っていいだろう。

「チャンピオンの首狩ります」

 そうアピールした安保。しかし次の試合では、野杁が加藤虎於奈を圧巻のKO、凄まじい強さを見せつけている。安保にはすでに勝っているだけに、試合後には「勘違いしてんじゃねえぞ」と厳しく言い放った。

 このマイクアピールを、安保はインタビュースペースのモニターで見ていた。試合後コメントを始める前に「これ見てからでいいですか」。そして野杁の言葉を聞くと「キモっ!」と笑い飛ばす。記者にあらためて野杁のマイクについて聞かれると「ムカつきますね」。

 自分は有言実行しているというのが安保の主張だ。

「そもそも(野杁が)KOできなかったヤツをKOしてるんで」

 実は安保は「すぐやって勝てるとは言わない」ともコメントしている。それだけ強い相手だと認めているのだ。野杁との対戦は、年内が目標だという。その上で、こう挑発してみせた。

「そこで興味ないというのは、自分に対しての逃げかなと。でも逃がさないです。必ず殺し合います」

 野杁も「組まれればやります」と言っており、両者のリマッチが遠からず組まれる可能性はある。その時までに安保がどこまで成長しているか。それが勝負のポイントになるのは間違いない。

文/橋本宗洋

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